
事業報告・決算、社会福祉法人現況報告書
更新日:令和4年7月29日
令和3年度神奈川県社会福祉協議会事業報告・決算
令和3年度は、社会福祉関係者・団体の連携・協働のもとで、本県の地域福祉推進の拠点となる「神奈川県社会福祉センター」を整備し、8月から運用を開始しました。
「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和3〜5年度)」の初年度として、計画における基本目標に向けた各事業を実施しました。事業の実施にあたり、昨年度から続くコロナ禍の社会状況を踏まえ、引き続き感染症拡大防止策を講じながら、各種の会議や研修等に取り組みました。
改正社会福祉法により創設された「重層的支援体制整備事業」の推進に向け、「重層的支援体制構築支援事業」を受託し、市町村社協部会事業と関連性を持たせながら、実態調査及び連絡会、研修会を実施し、行政・社協との課題共有を進めました。
緊急小口資金等の特例貸付の受付期間の延長に伴う貸し付けや、生活困窮者自立相談支援事業(町村部)、かながわライフサポート事業等により、感染症拡大に伴い生活に影響が生じた相談者に対して、関係機関と連携し対応しました。
現場で続く感染症による影響や、介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定などの制度動向を踏まえ、利用者ニーズに基づく地域に根差した福祉施設・事業所としての活動が進むよう、経営者部会・種別協議会等に共通する課題に対応した取り組みを行いました。
加えて、新たな人材の参入支援として、より広い層に向けた福祉の仕事理解の取り組みや、就職相談会や出張相談会を行いました。また、社会福祉従事者への現任研修の体系的実施や法定研修事業等を通じて、福祉サービスの質の向上に取り組みました。
災害時の対応に向けては、本会と災害に関する協定を結んでいる関係団体との連絡会等に参加し、市町村や他機関の情報収集や平時の関係づくりを進めるとともに、新たに、かながわ災害福祉広域支援ネットワーク事務局並びに神奈川DWAT関連事業を県から受託し、取り組みを進めました。
基本目標T 市町村域における包括的支援体制整備の推進
〔重点課題T 包括的支援体制構築のための総合的な相談支援の推進〕
市町村域において、市町村社協や福祉施設・事業所との協働による総合相談を進めるため、関連研修などにより、課題の共有並びに人材育成に取り組みました。また、地域の共通課題となる、地域の担い手確保について検討を行い、次年度の活動へとつなげました。
推進項目T−1 総合的な相談支援の取り組みへの支援
○包括的支援体制、重層的支援体制整備事業の推進にむけて、市町村社協部会において、行政と社協の課題共有の場を設けるとともに、県の委託事業により、行政・社協の現状・課題の把握、情報共有、研修など、これからの両者の連携・協働に必要な取り組みを、部会事業と連動させながら進めました。
○包括的支援体制のもとでの人材育成・確保について、上記の県の委託事業による研修のほか、市町村社協部会における人材育成のあり方検討と新たな研修プログラムの実施、また、生活支援コーディネーター研修(県委託事業)や、地域密着型住民活動の人材発掘を目的とする「地域の担い手づくり検討会」などにより多角的に取り組みました。
○「かながわの社協指針2020」の中で県社協の取り組み課題として掲げている社協の専門性と組織特性を踏まえた職員育成のあり方について「社協・地域福祉事業推進プロジェクト」において検討し、指針策定へとつなげました。
プロジェクトと並行して行った幹部職員課題検討会では、組織運営にかかわる社協特有の課題を協議し、今後の幹部育成プログラムや組織マネジメント研修プログラムの検討へとつなげました。
○民生委員児童委員部会では、民生委員児童委員の担い手確保を共通課題として、民生委員児童委員のPR動画を作成しました。
○かながわライフサポート事業について、参加法人自らが広く関係者に発信するきっかけづくりを行いました。経営者部会の地域社会貢献活動ホームページにおいても、会員法人のライフサポート活動を掲載することで、地域における関係者との連携・協働の形について普及啓発する機会をより多く作りました。
推進項目T−2 権利擁護と地域で生活を支える事業への支援
○身寄りがない方や親族がいても頼れない方等の身元保証機能や死後事務に関する地域の課題に関して、市町村社協との協働により、モデル事業を開始しました。また、県内外の先進的な取り組みを学ぶ機会を設け、身元保証・終活支援に関する課題共有等を図りました。
○日常生活自立支援事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、訪問や対面での支援が難しい状況が続きましたが、オンライン等を活用した支援として継続できるよう、その対応についての情報発信を行うとともに、市町村社協に対するオンライン相談を試行的に実施しました。
○かながわ成年後見推進センターでは、国における成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ、神奈川県成年後見人等候補者調整会議の開催準備として、意思決定支援やチーム支援に着目した申請様式などを定め、本人が制度利用の効果を実感できる候補者調整となるよう、運用面を工夫しました。本格運用前のプレ会議として、事例検討の進め方を整理するとともに、家庭裁判所の考慮要素を共有するための模擬事例検討を行いました。
○生活福祉資金貸付事業については、新型コロナウイルス感染症への対応のための特例貸付をはじめ、生活福祉資金の貸付の相談を通し、貸付を必要とする相談者や借受世帯の自立支援を図りました。
○生活困窮者自立相談支援事業(町村部)では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて生活が苦しくなっている世帯を中心とした相談に対して、関係機関と連携した支援に取り組みました。
基本目標U 多様な参加の機会と役割を生み出す地域づくり
〔重点課題U 地域での活動の関係性を広げるコーディネートへの支援〕
地域における地域福祉活動の活性化や、新たな活動の創出に向けて、活動や人をコーディネートするための機能の強化の一環として、県域ボランティアセンターの方向性を議論するとともに、市町村域でのコーディネート機能の推進に向けて、コーディネーターの育成、情報交換、課題共有に取り組みました。
推進項目U−1 多様な主体をつなげる取り組みの推進
○ボランティアセンター運営委員会を設置し、これからのかながわボランティアセンターの機能・役割、事業の方向性を論議し、令和4年度からの運営計画策定作業につなげる土台をつくりました。
○県域ボランティアセンターの機能の一環であるセルフヘルプ支援事業について、新たに支援者のネットワーク化にむけた普及講座を行うとともに、市町村ボランティアセンターの支援として、新たにブロック別コーディネーター情報交換会を実施するなど、市町村域でのコーディネート機能の推進に向け、事業を拡充して取り組みました。
○ともしび基金の果実を活用した協働モデル事業として「多文化高齢社会」「人との関係づくりが苦手な人のボランティア活動推進」「身寄りのない方への身元保証・死後事務」をテーマに、それぞれに本会と取り組み団体の協働作業により、調査、ワークショップの実施、サービス開発等、具体的な取り組みを行いました。
基本目標V 福祉サービスの質の向上にむけた取り組みの強化
〔重点課題V 多様な福祉人材が活躍する職場環境づくり〕
多様な福祉人材の確保に向けて、職員育成や働きやすい職場づくりを進められるよう、経営支援の面から情報を発信するとともに、動画やオンラインによる事業紹介など、さまざまなメディアを活用して現場の情報を届けるなど、福祉施設や事業所の取り組みがより効果的になるよう、支援しました。
推進項目V−1 福祉従事者の職場環境づくりへの支援
○社会福祉法人・施設の活動や取り組みが、利用者のニーズに基づいて、安心・安全な福祉サービスが提供され、地域に根差して展開されるよう、福祉経営支援レポートによる継続的な情報発信を行うとともに、簡易経営分析を用いた経営支援研修会等を実施し、経営支援事業として一体的に取り組みました。
○施設部会においては新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査を令和2年度に引き続き実施し、理事長・施設長セミナーに反映させるなど、会員の共通課題解決に向けた支援へとつなげました。施設部会・種別協議会では、コロナ禍での会員相互の情報・課題共有や学び合いの活動を継続的に行い、それぞれの施設運営や利用者支援を推進していけるよう取り組みました。
○かながわ福祉サービス第三者評価推進機構では委員会等の実施に際し、新型コロナウイルス感染症対策を講じる中、オンラインを活用し、着実に取り組みを進めました。また、平成30年度の事業見直しについて検証し、令和6年度までの取り組み内容をまとめました。
○かながわ福祉サービス運営適正化委員会では、苦情解決委員会による苦情への適切な解決対応や運営監視委員会による日常生活自立支援事業の適正な運営確保に向けた実施主体及び受託社協への実施状況調査等、計画どおり実施しました。また、福祉サービス事業所における苦情解決体制の状況について、前回調査から5年が経過し、改めてアンケート調査を実施し、「福祉サービス事業者における苦情解決体制整備状況に関するアンケート調査報告書」としてまとめ、関係機関等への普及啓発を図りました。
推進項目V−2 福祉従事者の専門性向上への取り組み
○福祉・介護従事者に向け、キャリアパスを基に、組織・専門的Off-JT研修として、職能組織やその他の研修機関との連携の中で、恒常的に専門性を高めていく研修事業を実施しました。また、階層別・職務別の課題に応じて、社会福祉事業従事者が生涯にわたり、福祉サービスの質の向上を高め続けることができるよう、職場・職域を離れて「仲間とともに学ぶ、学び続ける」機会づくりに努めました。
○新たに福祉研修センター事業企画委員会を設置し、社会福祉法人・事業所等の人材育成の取り組みと連携した、県域の社会福祉事業従事者研修機関としての役割や機能、事業内容を検討しました。
○「感染症拡大防止に対応した研修運営等ガイドライン」を定め、介護支援専門員実務研修受講試験(神奈川県指定)、第24期(1期、2期)及び第25期介護支援専門員実務研修(神奈川県指定)を実施しました。
介護支援専門員証有効期限外及び実務未経験者に対し資格取得・更新の研修として再研修(神奈川県委託事業)及び実務未経験者に対する更新研修(神奈川県指定)を実施することで、介護保険制度の要となる介護支援専門員の確保に努めました。
○介護に関する入門的研修を市町社協等と連携して実施するとともに、修了者への就労支援に関しては福祉人材センターが、地域における介護福祉人材の裾野を広げるための取り組みを行いました。
推進項目V−3 福祉人材の確保に向けた取り組み
○福祉人材センターの基本機能である無料職業紹介事業では、個別相談において、窓口での対面での相談事業の他、メール・電話を活用した積極的な就労相談等を実施しました。また、動画やオンラインによる事業紹介など様々なメディアを活用し、現場の生きた情報を届けるよう工夫しました。
○コロナ禍による離職者等も含めた他業界からの転職者なども視野に、新たな人材の参入支援としてより広い層へ向けた福祉の仕事理解促進や、就活情報の提供のために福祉人材センター登録の仕組みを新設し、求職活動までに至らない層へも情報提供できるようにしました。有資格者届出制度の届出登録者に向けては月1回、福祉・介護の施策や事業案内等のメールマガジンの配信を開始しました。
○各研修やセミナーの地域展開や教育機関等と連携したガイダンスの実施については、当該地域の介護施設等と連携したセミナーの実施など、より具体的に地域密接型の事業展開を視野に実施しました。
○保育士と保育所等児童福祉施設との就労支援事業として、新型コロナ感染症予防の観点から、時期や会場などに十分配慮し、合同就職相談会や就職支援ガイダンス等を行いました。また、潜在保育士を対象とした保育の仕事のミニセミナーに加え、保育士資格はあるが未就労の人や資格取得を検討している人なども対象に、保育の仕事の魅力や就労することへの不安を解決するためのセミナーも実施しました。
○介護福祉士修学資金等貸付事業において、今後よりいっそう必要となる介護人材等の確保に向けて、介護福祉士養成施設や介護職員実務者研修実施機関等に通う学生等に対して修学資金の貸付け等を行うことにより、県内の福祉・介護人材の育成及び確保並びに定着を図るために取り組みました。
○令和3年度から、コロナ禍による離職者等に対して、福祉・介護の資格取得し、新たに福祉・介護分野への就労希望する人の支援を目的とした就職支援金貸付事業や、福祉系高校に通う生徒への福祉系高校修学資金等貸付事業を開始しました。
【本会活動の基盤整備と強化】
1.本会組織・活動基盤の強化
(1)組織・活動基盤の強化
○神奈川県社会福祉センターは、6月の建物引渡し後、速やかに内装工事及び事務局移転作業を行い、8月1日からセンターを本格稼働しました。センターの開所以後は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を講じながら、人材養成等の拠点機能を発揮するとともに、センターの安定的な管理運営に向けて会議室貸出や自動販売機の設置など賃貸料収入の増収を図りました。
○センター整備事業では、積極的に呼びかけを行った結果、2ヵ年で、累計277件1,759万円余の協賛・協力を得ました。
○本会事務局職員の資質向上に向けて、独自研修と各課の実施事業における各種研修を組み合わせながら職員研修を実施しました。正規職員の人事評価制度の見直し並びに職員育成研修計画の体系整理と内容の見直しをすすめ、職員育成研修計画を改定しました。
○計画推進委員会において、活動推進計画の進捗状況や事業実施から見えてきた課題について報告し、本会の事業実施で必要な視点等について意見をいただきました。
(2)災害時における関係機関・団体との協働
○内閣府が進める「行政、社協、NPOとの連携」並びに、本県の災害救援ボランティア支援センターにおける四者協定の関係団体との連絡会に定期的に参加し、市町村や他機関の情報収集や平時の関係づくりを進めました
○県から新たに、かながわ災害福祉広域支援ネットワーク事務局並びに神奈川DWAT関連事業を受託し取り組みを進め、ネットワーク普及のためのチラシ作成のほか、広域的な連携に向けた他県DWATとの情報交換会への参加、必要な資機材の購入や神奈川DWAT活動マニュアル作成に関する県への協力などを実施しました。
○新型コロナウイルス感染対策として、県から「社会福祉施設等応援職員派遣事業」を受託し、社会福祉施設等において感染者が発生した際に、感染施設の要請に基づき、入所者支援を継続して行えるよう応援職員の派遣可能な法人・施設を募り、派遣可能施設名簿を作成し、感染者等が発生した施設への派遣調整をしたほか、感染者等が発生した施設で勤務(雇用)可能な方、応援派遣職員を出した施設で代替職員として勤務可能な方を募集し候補者名簿を作成、マッチングを実施しました。
2.共通課題の解決に向けた情報発信
○政策提言活動としては、政策提言委員会において、分野や種別によらない共通目標として「これからの神奈川の福祉のあり方」をとりまとめ、県や全国社会福祉協議会などに政策提言活動を行いました。
○福祉タイムズにより、本会会員を始めとした福祉関係者等に向けて、社会福祉施設等で働く福祉従事者の「働きやすさ」につなげる情報を発信しました。また、ホームページやツイッターにより、本会各部所からのタイムリーな情報等を掲載し、広く会員施設及び県民に周知を図りました。
令和4年度は、活動推進計画の2ヵ年目になります。計画事業の実施にあたっては、これまで以上に本会会員各位、関係者の皆様からのご協力・ご参加をいただきながら取り組んでいく所存でございますので、より一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。
社会福祉法人現況報告書
本会では、毎年、社会福祉法第59条及び社会福祉法施行規則第9条の規程に基づき、組織概要、事業概要、財産の所有状況等をまとめた「社会福祉法人現況報告書」を所轄庁に提出しています。
報告書類はWAM NETのホームページからご覧いただけます。
https://www.wam.go.jp/wamnet/zaihyoukaiji/pub/PUB0201000E00.do?_FORMID=PUB0211100&vo_headVO_corporationId=1614103866