かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

やまぼうし

対象事業所名 やまぼうし
経営主体(法人等) 社会福祉法人恵和
対象サービス 障害分野 生活介護
事業所住所等 〒 240 - 0035
保土ヶ谷区今井町1276-1
tel:045-453-8207
設立年月日 2010(平成22)年01月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【事業所の概要】
 障害者通所施設「やまぼうし」(生活介護事業所)は、JR横須賀線「保土ケ谷」駅または相鉄線「二俣川」駅から、バスで「今井町」下車、徒歩約1分の住宅地にあります。平成22年(2010年)1月、社会福祉法人恵和により開設されました。同法人は、当事業所のほか、通所施設(2ヶ所)、青年寮(入所施設)、グループホーム(19ヶ所)など、保土ケ谷区を中心にさまざまな事業を展開しています。
 事業所の建物は2階建てで、1階に作業室、2階に作業室(兼食堂)、厨房、事務室などがあります。
 定員は30名で、月曜日〜金曜日(年始年末を除く)の9時〜16時が開所時間です。現在、利用者は37名で、10・20歳代15名、30・40歳代11名、50歳以上11名、全員が愛の手帳(知的障害)の交付を受けています。
 運営法人の基本理念として、恵和憲章を「今日も元気で世のため人のために頑張ろうや」と定めています。それに基づき、事業所の運営方針として、「利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるように」「利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供」「地域との結び付きを重視」などを掲げています。
 具体的な支援にあたっては、「利用者が“はたらく”ことを通じて社会貢献・自己実現を果たし、生活に満足感・社会に必要とされる喜びが得られるようにする」「“はたらく”だけではなく、“たのしみ”を持って通所ができるようにする」ことを目指しています。

 

◆高く評価できる点
1、利用者は、“はたらく”喜びを感じ、楽しみながら落ち着いて過ごしています
 日中活動のメインである“はたらく”は、作業室で、企業からの受注作業として主に紙製品の加工を行っています。衣裳用段ボール箱の組み立て・菓子箱組み立て・食品トレイ折り・袋詰めなどの作業を、1階、2階に分かれて行っています。広い作業室に置かれた机に向かい、一人で作業をする人や、折り曲げ・組み立て・ラベル貼り・取手付けなどの流れ作業を数人のグループで行うなどさまざまです。職員は、利用者が「自分で工夫できることは自分でやる」ことを心がけ、見守りを主体とし、困ったときに手助けするようにしています。作業の様子を見ながら、ちょっと折り方のヒントを与えたり、手本をやって見せたり、一人一人にあった対応をしています。また、数を数えることが難しい利用者には10個の仕切りがついた箱やプレートをつくり、仕上がった製品を入れることで数量が分かるようにするなどの工夫をしています。一人一人の利用者の個性や得手・不得手によって作業内容は分かれていますが、受注品によっては新しい作業工程が入ることもあり、職員は一人一人に丁寧にやり方を説明しています。時には午前と午後で作業が変わることや、受注作業ではなく、布製ポーチや編み物などの自主製品の製作を行うこともあります。そのほか、近くの畑に行って農作業をしたり、地域清掃の活動に参加したりという、屋外で“はたらく”体験の場もあります。
 “たのしみ”の活動として、余暇活動(喫茶・ドライブ・ウオーキングなど)、季節のイベント(バーベキュー、バイキング、やまぼうしまつり、クリスマス会、新年会)、誕生会(月一回)、一泊旅行(年一回)などがあり、利用者は思い思いに楽しんでいます。

 

2、職員間で情報が共有され、連携して利用者の支援にあたっています
 職員会議で、利用者一人一人の状況などが報告され、全職員が情報を共有しています。また、利用者 一人一人について、日々の活動内容を記録し、パソコン内に保存しています。この方式は法人内の他の事業所にも取り入れられているので、グループホームから通所している利用者が、昨日の夕方から朝までどのように過ごしていたかの情報を、やまぼうしの職員もネットを通じて見ることができるようになっています。利用者の24時間の動向を把握し、一人一人に適切な支援となるよう全職員で取り組んでいます。
 また、本年度の取り組みとして、「利用者が安心して喜怒哀楽の感情表出ができるよう、支援員はコミュニケーションのプロフェッショナルだという自覚をもって、受容・共感・傾聴を行う」ことを重点課題として掲げ、職員がさまざまな研修に参加しています。研修で得た情報・技術を利用者とのコミュニケーションに活用し、何らかの成果があった場合には、職員会議で報告し、職員間で共有を図っています。

 

  
◆改善や工夫が望まれる点
1、マニュアル類の整備が望まれます
 感染症予防対策・防災管理等に関するマニュアルは作成されていますが、そのほかの日常業務に関わるマニュアルは、ほとんど作成されていません。職員会議などでの決定事項・申し合わせなどに基づいて職員は日々の業務を行っていますが、職員間での違いが認められる懸念があります。共通事項として、最低限守るべきこと、チェックすべきことの基準や手順を、マニュアルや手順書として明確に文書としてまとめることが望まれます。マニュアルがなぜ必要なのか、マニュアルにどのような事を盛り込むかなどを職員間で検討することにより、現在良くできている点・改善すべき点などが分かり、支援の質のさらなる向上につながることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・運営法人の基本理念として、恵和憲章を「今日も元気で世のため人のために頑張ろうや」と定めています。それに基づき、やまぼうしの運営方針として、「利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるように」「利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供」「地域との結びつきを重視」などを掲げています。
・運営法人が職員行動指針を「笑顔で いきいきと 生きる」と定め、具体的な基準を6つのキーワード「誠実・尊重・本気・信頼・和・前進」にまとめています。また、就業規則中に、服務規律および職員倫理を記載しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・初めて通所を開始する利用者のアセスメントは、必ず本人や家族と面談しています。継続利用者の場合は、日中活動などの場で、利用者の状況を把握しています。
・個別支援計画の作成・見直しに際し、利用者(または家族等)から、要望などをあらかじめ聞き取っていますが、作成・見直しの会議には参加していないので、改善することが期待されます。
・利用者の多くがグループホームを利用しているので、法人のホーム支援室・地域支援室が主体となって、自立生活・地域生活を支援しています。さらに充実したものとするため、日中活動の支援に加え、やまぼうしとしての具体的な取り組みを検討することが望まれます。
・栄養士が、運営法人本部の健康管理室と連携し、利用者一人一人に適切な栄養管理を行っています。主食のご飯をグラム数で5段階に分けるなど、一人一人に必要カロリーを考慮した給食を提供しています。
・昼食は2階で全員一緒に摂っています。準備として、テーブル拭き、トレイ・ウエットティッシュの配置、配膳と、利用者が出来ることを、出来る人がする体制で積極的に関わっています。   
・ひな祭り・七夕・クリスマス等の行事食メニューや、寿司バイキングやスイーツバイキング等、多くの特別メニューを提供しています。誕生月には、利用者からのリクエストメニューを取り入れています。
・利用者へのやまぼうしの姿勢を、「支援員はコミュニケーションのプロフェッショナルだという自覚を持って、受容・共感・傾聴を行う」とし、外部研修などに参加しています。それに基づき、利用者とのコミュニケーションにおいて、何らかの成果があった場合には、毎週の「やまぼうし会議」(職員会議)で伝え合い職員間の共有を図っています。
・利用者それぞれの特性に応じた作業や活動が出来るように、多種の作業を用意しています。利用者の障がい特性や能力に応じて、職員手作りで治具の工夫をしています。例えば数を数えることが難しい利用者には、10個の仕切りの付いた箱やプレートを作り、仕上がった製品を全部入れることで数量の確認が出来るようにするなどのきめ細かい配慮をしています。
・毎月「やまぼうしカレンダー」として、その月のイベントを記したカレンダーを利用者に配付しています。年間を通して、新年会・豆まき・バーベキュー・カラオケ・ボウリング・一泊旅行等々、多くのイベントを企画しています。
・健康管理室主催で週1回1時間の「ウォーキング」を実施しています。
・運営法人発行の季刊誌「季刊恵和」を、家族に郵送しています。
・施設利用と関係のない事柄についての家族からの相談にも応じています。日々の送迎時においても家族との会話を大切にしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・支援内容等について、重要事項説明書に基づいて説明した後、サービス利用契約書に本人の署名を得ています。利用開始前に、本人および家族と面談し、障害特性や利用前の生活状況などをアセスメントシートに記入しています。
・利用者一人一人について、日々の活動内容などを記録しています。記録は、パソコン内に保存され、ネットを通じて、法人内全職員が共有できるようになっています。グループホームから通所している利用者について、やまぼうしの職員も、夕方から朝までどのようにすごしているかを、ネットを通じて見ることができます。
・苦情解決に関する規程を定め、要望・苦情の受付担当者は主任、解決責任者は所長であることを重要事項説明書に記載し、利用者や家族に周知しています。第三者委員が2名定められ、直接苦情を申し立てできるようになっています。また、オンブズパーソンが年に数回来所し、施設への苦情や要望を利用者から聞き取り、施設へ伝えています。
・「やまぼうし、昼食後の服薬管理」とした施設独自の服薬マニュアルを作成しています。薬の保管場所・服薬の確認方法・飲み忘れが無いかの確認までを明記しています。
・感染症予防対策・防災管理等のマニュアルは作成されていますが、そのほかの日常業務に関わるマニュアルや手順書はほとんど作成されていません。職員会議等での決定事項・申し合わせなどをマニュアルや手順書として明確に文書としてまとめることが望まれます。
4 地域との交流・連携 ・地域の「保土ヶ谷西部ほっとなまちづくり検討委員会」(自治会が中心となり地域の問題を話し合う委員会)に所属し、3ヶ月ごとの会議に出席していますが、地域住民に向けた保健福祉に関する勉強会等を開催するには至っていません。
・やまぼうし祭りに地域住民を招待しています。又、近隣小学校のPTAに祭りへの参加を依頼し、模擬店の店長で加わってもらっています。利用者は地域のコンビニ・喫茶店・カラオケ店等を利用するなど、地域との交流があります。
・運営法人のホームページには、理念・業務内容・職員体制等の情報を掲載しています。また、横浜市健康福祉局のホームページ「よこはま福祉ナビ」に、施設の情報を提供しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・運営法人の全職員が集まる全体会議(年1〜2回)で、職員行動指針を周知しています。
・他の施設での不正・不適切な事例等を入手した場合は、職員会議で報告し、職員に周知・啓発しています。
・作業室のゴミ箱は、可燃物・プラスチックスなど分類ごとに設置しています。書き損じや不要紙をメモ用紙として再利用しています。また、厨房で発生した野菜のくず等の生ゴミを系列施設「えみ」に送り、堆肥作りに協力しています。
・トイレや階段の照明にセンサーを付けたり、無駄な電灯をこまめに消したり省エネルギーに努めています。
・所長は、利用者の声や、職員会議での職員の意見を聞き取った上で、年度事業計画を作成しています。随時、年度事業計画の進捗状況を把握し、適切でないと判断した場合は、適宜修正などを行っています。
・重要な意思決定がされた場合は、職員に目的・決定理由・経過等を十分に説明しています。利用者や家族には、文書で知らせています。数年前、作業の開始時間・終了時間の変更を行ったときは、文書および口頭で利用者や家族に説明しています。
・主任は、日々現場に出て個々の職員の業務状況を把握しているほか、日誌などからも確認しています。
・主任は、その日の利用者の状況や作業内容を把握し、職員が良好な状態で仕事に取り組めるよう適宜メンバー編成を変えるなどの配慮をしています。
・事業運営に影響のある情報は、日中活動支援事業所会議などから得ています。重要な情報は、職員会議で職員に伝えています。
・受注作業の内容や量を整理し、利用者が働きやすくなるよう工夫しています。また、年度事業計画中に、重点課題として、利用者支援及び事業運営を掲げ、具体的目標を明示して職員に周知し、取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進 ・法人内に人材育成室が設置され、毎年度、人材育成に関する重点課題を設定し、さまざまな法人内研修や各事業所研修の支援などを行っています。
・職員は、やまぼうし内での研修・勉強会や法人内の研修に参加するほか、横浜市や横浜市社会福祉協議会等が行う外部研修に参加しています。外部研修に参加した職員は、職員会議で報告するとともに、研修報告書を作成、回覧し、他の職員も情報を共有できるようにしています。外部研修などで、工夫・改善した良い事例などを得た場合は、やまぼうしでも取り入れられないかなどを検討しています。
・利用者への接し方・言葉づかいなどで、気になる点などがあれば、職員会議で随時話し合っています。
・法人の人材育成室が、組織役割表を定め、経験年数・職位(常勤新任(3年目まで)、常勤中堅、主任、係長、室長など)に応じた役割・求められる能力・職務内容などを明記しています。
・日常の利用者への支援、家庭やグループホームとの連絡など、現場の職員が自分の担当する利用者に対し、責任をもって対応するようにしています。また、やまぼうし内の役割分担(日々の業務や余暇活動・行事の企画など)を決め、業務遂行力を身につけられるようにしています。
・会議の場だけでなく、職員がいつでも業務改善の提案をしたり、自分の意見を自由に述べたりすることができるようになっています。

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