かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

救護施設 清明の郷(2回目受審)

対象事業所名 救護施設 清明の郷(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜社会福祉協会
対象サービス 保護 救護施設
事業所住所等 〒 232 - 0033
南区中村町5-315
tel:045-251-5099
設立年月日 2006(平成18)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
救護施設「清明の郷」は横浜市営地下鉄「吉野町」駅から徒歩15分の堀割川に面した静かな住宅街にあります。横浜市内に多数の特別養護老人ホームやケアプラザ、障害者施設を運営する社会福祉法人横浜社会福祉協会が設立した、生活保護法に基づく入所施設です。身体や精神等に障害を持ち地域で生活することが困難な人たちを対象にしています。
昭和27年に宿泊施設として開設され、昭和37年に定員80名の救護施設「天神寮」に発展し、平成18年に定員190名の「清明の郷」に名称変更し現在に至っています。平成28年4月1日現在の入所者は191名で平均年齢は65.5歳で、その70%は男性です。
法人の理念を一言で表す言葉は「福祉の追求」であり、その示す意味は「ご利用者幸福の追求」「地域貢献の追求」「職員幸福・職務環境の追求」「今を、未来を支える幸福の追求」であることをうたい、その実現のための行動指針を明記し施設の理念としています。理念を職員カードに明記し、職員は常時携帯し理念の実践に努めています。

≪優れている点≫
1.目標管理により、職員のモチベーションを高めています
職員カードに法人の理念「福祉の追求」を明示しています。職員は職員カードを日々確認し意識の中に明確な使命感を醸成しています。目標支援制度の目標シートを活用し各部署の就業計画を基に職員一人ひとりの業務目標を定め、年2回の上司との面接で目標の達成状況を評価しています。
 目標支援制度は人事考課の一環として実施され職員のモチベーションの向上につながっています。人材育成委員会など4委員会が活動しています。委員会の運営を主任、中堅、新人の各グループメンバーの代表が担当することにより、それぞれの世代の意見・提案を出しやすい環境を作っています。若い世代や多様なキャリアのコミュニケーションが融合し、組織全体に意欲的な動きや活動が醸成されています。
2.クラブ活動を支援して、利用者の生活を充実するようにしています
クラブ活動を積極的に支援しています。手芸や華道、歌謡、絵画、書道、陶芸、将棋等クラブの数は10にも及びます。クラブ活動は登録制ではなく、だれでも自由に参加することができます。月1、2回の活動で書道や生け花など利用者の作品が施設内各所に掲示されています。毎週土日は利用者のリクエストによる映画鑑賞会を開催しています。
また、納涼祭やふれあい祭り等の施設の行事を利用者は楽しみにしています。納涼祭では模擬店の手伝いや利用者とのコミュニケーションを中心に、多数のボランティアが参加します。職員と利用者が合同で出し物を企画し共に披露して楽しんでいます。
3. 地域行事に積極的に参加し、利用者の地域交流を行っています
毎年秋に施設行事のふれあい祭りを開催しています。地域ボランティアの協力を呼びかけ模擬店やフリーマーケットを開催しています。平成28年度は18名の地域ボランティアが参加し、小・中学校の生徒による和太鼓、吹奏楽の演奏等が披露され、200名程度の地域住民が会場に訪れました。
地域貢献と地域の施設への理解を得ることを目的に清明の郷地域お掃除隊を編成し、利用者が参加し地域の公園周辺のゴミ拾いを週1回行っています。利用者は地域主催の盆踊りや地域のサロン等に積極的に参加し地域住民との交流を図り、また、年2回、彼岸・お盆の時期には、横浜市納骨堂への供養を実施するなど長年培われた地域との関係継続に努めています。
4.健康に関する体制を整え、利用者の総合的健康管理を行っています
健康管理マニュアルを整備し、病歴や服薬、バイタルサイン等の把握、医療的ケア、救急処置や救急蘇生法などについて明記し日常的に活用しています。年2回健康診断を実施し、内科、精神科、歯科等の医師が定期的に往診し利用者の健康状態を把握しています。看護師が常駐し利用者はいつでも健康に関する相談ができる体制が整っています。
利用者の多くが薬を服用しており、服薬管理を徹底し誤薬を防いでいます。また、専門医と連携し日常的に医療的対応を必要とする胃ろうや糖尿病等の利用者に対応しています。利用者の健康状態に応じた運動プログラムや食事メニューを用意しています。機能回復訓練室には数台の訓練用機器が設置され、理学療法士による一人ひとりへの運動機能を維持し、回復するプログラムが組まれています。
5.ハードとソフトの両面で快適な施設空間を維持しています
 フロア全体に採光に工夫があり明るく、また、通路の各所に生け花を飾るなどの配慮があり快適な環境となっています。バリアフリーを完備し、救護施設の利用者の多様な障害特性に配慮し、車椅子2台がすれ違える幅の広い廊下や手摺等、利用者の安全に配慮した環境設備となっています。フロアごとに喫煙室を完備し、たばこの煙が外に漏れないようにしています。
食堂やトイレなどの共用スペースの清掃は利用者の生活プログラムの一環として毎日実施しています。個室の割合は入所定員の20%程度で多くの利用者が二人部屋の生活です。各居室はプライべ−トカーテンで仕切られナースコールを備え、収納の一部に鍵付きの引出しがあります。利用者個々にコンセントが設備されており、利用者はそれぞれカセットやCD、DVDなどで楽しんでいます。

≪努力・工夫している点≫
1. 対応困難な利用者支援に力をいれています
 救護施設の役割は利用者が自立し地域移行の円滑な推進を支援することです。しかし入所者の高齢化や医療的ケアの必要な利用者の増加傾向の中で、地域移行が必ずしも円滑に進んでいる状況とは言えないようです。地域に独立し居宅への自立を求める利用者が少ないという利用者ニーズの変化の中で、セーフティネットとしての施設の役割のジレンマがあります。そのような施設を取り巻く環境条件の中で、既に制度化されている居宅生活訓練や地域の生活困窮者支援を積極的に推進しています。
 利用者の生活訓練に力を入れ、地域移行に向けた体験宿泊の環境を整えています。また、糖尿病や胃ろうの利用者等医療的ケアや高齢化によりADLの低下が顕著な利用者への食事介護や特殊浴槽による入浴介助等の支援に力をいれ、利用者が安心して日々の生活を送れるようにしています。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1.利用者の自立に向けた自主的な運営組織の設立支援
数年前までは利用者の自治会組織が運営され活動していましたが、利用者の高齢化により自治運営が難しくなり現在は活動していません。利用者向けの朝の会が毎日開かれ、連絡事項のほか、要望や意見を出す機会を設けていますが、発言が余り見られない状況です。利用者は60代半ばの平均年齢であり、一般社会では活躍が十分期待出来る世代と考えられます。
日常の活動では陶芸や書道など趣味活動に携わる利用者もいられます。利用者の自主的な活動や役割を支援し、利用者自身が運営する自治組織に向けた取り組みが期待されます
2.ヒヤリハットの分析と対応結果の集計による事故防止
事故やヒヤリハット報告をフロア会議や役職者会議で取り上げ、事故防止の対策を講じています。また、全職員にヒヤリハット報告を回覧し職員の注意を喚起しています。事故防止対応マニュアルを整備し、各フロアに配備し緊急時の事故発生に備えています。加えて今後は、ヒヤリハットや事故報告書の半期または年度ごとの分析結果をまとめ、利用者・保護者に開示し事故防止の意識の徹底と強化のツールとして活用することを期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

施設の理念に「ご利用者様の幸福の追求」を掲げ、利用者の生命、自由、プライバシー、個々の人格権を守ることを明記し職員に周知しています。虐待に関する職員アンケートを実施し注意を喚起しています。職員は日常のサービス支援のなかで不適切な言葉遣い等をチェックし職員相互に指摘しあうようにしています。また、毎年人権研修を実施し、虐待防止法制のポイント等について説明し職員に人権擁護に関する法制度について周知しています。


個人情報管理規定を整備し個人情報の目的外収集や利用を行わないことを明記し、個人情報の保護に努めています。個人情報管理台帳を整備し、個人情報に関わる書類は鍵の掛かる場所に必ず保管し管理の一元化を図っています。パソコン等については、パスワードを設け、職員以外の不正アクセス防止に努めています。


接遇マニュアルを各フロアに配置しています。毎朝の介護職員のミーティングでは接し方や呼称、言葉や行動への注意を喚起しています。職員人材育成委員会や個別支援委員会では、個人情報に対する守秘義務、言葉づかいや振る舞いについて、その都度、確認し改めるよう努めています。


フロア全体に採光に工夫があり明るく、また、通路の各所に生け花を飾るなどの配慮があり快適な環境となっています。バリアフリーを完備し、救護施設の利用者の多様な障害特性に配慮し、車いす2台がすれ違える幅の広い廊下や手摺等、利用者の安全に配慮した環境設備となっています。フロアごとに喫煙室を完備したばこの煙が外に漏れないようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

アセスメントを実施し利用者支援ニーズを把握し個別支援計画に反映しています。自立度の高い利用者が多いためアセスメントは年1回の実施を前提にしていますが、利用者の状況に応じ随時実施しています。服薬等の健康管理、食事・排泄等の日常生活動作、社会生活、対人能力や家族状況等領域ごとに分類し、支援の必要性を3段階で評価しアセスメント表に明記しています。


個別支援計画の課題に沿って年1回モニタリングを実施し、支援計画の達成状況を評価しています。指導員と介護職員の2名の個々の利用者担当職員がモニタリングを実施しています。利用者の生活状況の変化や課題ごとの継続・一部継続・終了の支援結果を支援計画モニタリング記録に記述しています。モニタリングの結果を利用者に説明し同意のサインをもらっています。


自立に向けた支援計画を作成する上で自分から意見や要望を表明しない利用者に対しては、職員が言葉をかけ、発語のできない人にはコミュニケーションボードを使い、食事内容など利用者に関心のある内容でのコミュニケーションを図り一人ひとりの思いの把握に努めています。訪問診療の内科医、精神科医等と連携を密にし、利用者の意思・希望を正しく理解し自主性の向上につなげるようにしています。
健康管理マニュアルを整備し利用者の日常の健康状態の把握に努めています。また、利用者の高齢化、重度化に対応するために医療及び介護内容の充実化を図り、医療的ケアや 異常時のケア等に対する支援の拡大に対応しています。精神病疾患者や脳血管疾患者、糖尿病患者、胃ろう等の利用者を受け入れ、医師の指示に基づいて処置しています。


利用者の高齢化による嚥下事故の防止を図っています。調査時点で5名のソフト食と10名の極刻み・トロミ食の利用者がいます。利用者の多数は社会復帰を視野に置いて常食を中心とする食事を提供しています。定期的に太りすぎをチェックし、糖尿病で食事に注意を要する20名程度の利用者にはご飯やデザートの量を調整しカロリー制限をしています。


入浴介助マニュアルを整備しています。一般浴と特殊浴槽及び中間浴の3形態での入浴が可能です。週2回の入浴を基本にしています。特殊浴槽の利用者は8名程度です。男女別と介助の必要性に配慮し入浴日が設定されています。一般浴は2名の職員が見守り、介助浴では5名の職員が着脱と浴室支援にあたっています。女性の利用者には同性介助を行っています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

「感染症対策ガイドラインマニュアル」「ノロウィルス感染防止対策施設対応マニュアル」を整備し、感染症の防止に努めています。看護師を中心に各部署の代表からなる感染予防委員会を軸に、インフルエンザやノロウィルス等の感染予防を図っています。嘔吐物処理マニュアル、衛生害虫対策ガイドライン、職員体調管理記録簿等を整備し感染症の予防とともに感染拡大の防止に努めています。平成27年度、28年度は感染症の発症はありませんでした。


リスクマネジメント等事故防止については、ヒヤリハット・事故防止検討会議を随時開催し事故防止と再発の防止を徹底しています。事故やヒヤリハット報告をフロア会議や役職者会議で取り上げ、原因を分析し事故防止の対策を講じています。事故防止対応マニュアルを整備し、介護事故を未然に防止するための体制や緊急時の連絡網を明記し、緊急時の事故発生に備えています。


年に2回避難訓練を実施しています。訓練は地域の消防署と連携し、夜間・日中の火災、地震、津波の発生を想定し実施しています。災害発生時の家族や関係機関との連絡網を整備しています。また、地域との応援協力協定を締結し、地域の災害時特別避難場所の指定を受けて、年1回の地域住民合同の防災訓練を実施しています。
苦情申出書に、苦情対応手順フローチャートを明記し施設内に掲示しています。各フロアの介護室に鍵付きの提案箱を設置し、利用者がいつでも苦情を言えるようにしています。利用者を対象に朝のミーティングを行い利用者からの意見や要望の把握に努めています。第三者委員を設置し、利用者が直接連絡し苦情を言える仕組みがあります。

4 地域との交流・連携

区内の自立支援協議会に参加し、救護施設はどのような役割や活動をしているかを説明し、また、地域住民と施設間の相互理解を目的に、地域連絡会への参加やフリーマーケットなど地域イベントに積極的に参加し地域交流を図っています。地域で生活保護受給者をはじめ生活困窮者等の受け入れ依頼があった際は、緊急一時保護の一環として生活の場を提供しています


毎年秋に施設行事のふれあい祭りを開催しています。地域ボランティアの協力を呼びかけ模擬店やフリーマーケットを開催します。平成28年度は18名の地域ボランティアが参加し、小・中学校の生徒による和太鼓、吹奏楽の演奏等が披露され、200名程度の地域住民が会場に訪れました。また、フリーマーケットの場所を提供する等地域住民の依頼に応じ施設資源の提供を行っています。


地域における施設への理解促進に努めています。地域貢献と地域の施設への理解を得ることを目的に清明の郷地域お掃除隊を編成し、利用者が参加し地域の公園周辺のゴミ拾いを週1回行っています。利用者は地域主催の盆踊りや地域のサロン等に積極的に参加し地域住民との交流を図り、また、年2回、彼岸・お盆の時期には、横浜市納骨堂への供養を実施するなど長年培われた地域との関係維持継続に向けて積極的に地域行事に参加しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

ホームページに施設の理念や経営方針、施設運営の目的等を掲載し、サービス内容や入所までの流れ等について明記し地域への情報提供に努めています。また、年1回広報紙「清明の郷ふれあいだより」を発行し、地域の関係機関や小学校等に配付し施設の活動の紹介に努めています。施設の入り口の地域の人たちの目に留まりやすい所に掲示版を設置し、施設の情報だけでなく地域からの情報を掲示したりしています。


施設長は、日ごろより朝礼等を通して利用者の意見を聞く機会を設けています。また、利用者に積極的に声をかけ利用者が話をしやすい雰囲気づくりに努めています。職員の顔と名前が一致しないという利用者の要望を聞き、日常から職員証のネームホルダーを着用することを速やかに対応しました。各フロアに提案箱を設置しいつでも利用者の意見・要望を聞くようにしています。食事のごはんとパンの選択など利用者の意見を取り入れて実施しています。


平成26年度から平成28年度の短・中期施設運営事業計画を策定しています。計画には居宅訓練事業等制度化されている事業の運営と生活困窮者支援、地域貢献支援、人材育成等の課題を明記し、年度ごとの達成状況と今後の事業展開について記述しています。生活困窮者に対しては先ずは就労支援の開始を実施することにしています。また、短・中期利用者支援に関する計画を明記し、個別支援計画の充実、地域移行の推進等を明記しています。

6 職員の資質向上の促進

人材育成委員会が中心となり入社時研修を年2回実施し、法人の目指す人材像や倫理等について周知し、また、入職者のサービス支援に関する技術向上に向けて育成を図っています。職員に対し、感染症予防や虐待防止についてDVD等を用いた研修を実施し意識の徹底を図っています。関東地区内の救護施設が一同に介する研究協議大会や救護施設職員研修会に積極的に参加しています。


目標支援制度を実施し、階層別に職務に応じて職員一人ひとりの目標管理を行っています。年度始めに個人の目標シートを作成し、年2回の上司による面接を行い、自己と上司による目標の達成度を評価し、人事考課制度につなげています。各委員会をはじめフロア別会議において利用者個別支援や感染症対策、技術の習得、職員育成に向けた討議の場を設けています。そうした業務や活動を通して職員1人ひとりのスキルアップに繋げています。


管理規定に職員の職務内容を規定し役割を明確にしています。各委員会活動やフロア会議、給食会議、指導員会議等を通して、日常的に提案や意見を発表する機会を設けています。2年目の先輩職員が新人のOJT担当として指導に当たり、フロア主任が達成状況を評価する仕組みがあります。技術や経験の少ない職員も人材育成の中心者として自身のスキルアップを図っています。人材配置に柔軟な体制づくりを行い、モチベーションの維持・向上に努めています。

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