かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

沼間愛児園

対象事業所名 沼間愛児園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 恩賜財団神奈川県同胞援護会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 249 - 0004
逗子市沼間1-21-10
tel:046-871-2669
設立年月日 1949年04月10日
公表年月 2018(平成30)年01月 〜
使用評価項目 神奈川県社協版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設概要>
沼間愛児園は昭和24年開設で、現在68年が経過した歴史のある保育園です。定員は150名で現在は154名が利用しています。
園はJR「東逗子駅」より徒歩7分程の県営住宅や一戸建ての住宅が立ち並ぶ住宅地の中にあり、近隣には公園などもあり、自然にも恵まれた環境です。
園舎は乳児棟と幼児棟に分かれ、その間にある園庭に渡り廊下が設置され、それぞれの棟を行き来しています。園を卒園した保護者も多く、二世代、三世代にわたり利用している家庭もあります。設立当初からの「抱いて・見つめて・はなしかけて」の気持ちを大切に、子どもたちが安心して過ごせ、安全な環境の下で職員は子どもたちに丁寧に関わっています。


<優れている点>
1.地域に感謝し、地域の子育て支援・地域交流に力を入れています
地域に支えられてきたとの想いが歴代の園長に引き継がれています。恵まれた地域環境を十分に活用して、子育て支援に取り組んでいます。園内に独立した育児センターを設け、地域の子育て支援に活用しています。主任が中心となって子育て支援年間計画を作成しています。
「なかよし通信」を毎月発行し、その月の予定などを地域にお知らせしています。毎月「なかよしクラブ」、「プレイルーム」を開催し、地域の子育て親子へ参加を呼び掛けています。地域の子どもと同じ年齢のクラス体験や園庭遊びができます。事前予約が不要なため気軽に参加でき、親同士の交流や親子の触れ合いの場となっています。
園行事のクリスマス、運動会、もちつき等にも地域の参加を呼び掛けています。実施日には子育ての悩みなどの相談にも対応しています。
中学生の職業体験や家庭科の授業で、中学生が園に来て子どもたちと交流しています。また、子どもが中学校でじゃんけん列車やしっぽ取り等のレクレーションを通しての交流会も行っています。サマ−スクールボランティアでは中学生、高校生が園児と触れ合い、いのちの尊さや自分自身の生き方を考える機会ともなっています。高校生の委託実習は長期になるのでお互いに信頼関係を築きながら交流を行っています。介護施設や敬老クラブサロンへの訪問は、子どもと高齢者との触れ合いの場として喜ばれています。このように様々な交流により、地域との連携を図っています。

 

2.職員はスキルアップに努め、子どもを大切にした保育を実践しています
園には経験年数の長い職員が多く、豊富な知識を活かして様々な保育を展開しています。経験年数の浅い職員は経験年数の長い職員とペアになって、お互いの感性を大事にしつつ様々なことを教わりながら保育をしています。
研修については、職員各自が研修計画書を提出し、園長と主任で調整を行い希望や必要に応じた研修参加を推進しています。職員は意欲的で、年間50以上の研修に参加し、スキルアップに努めています。研修後は、研修報告書を作成し、回覧や会議で伝えています。保護者にも伝えたい時は、保護者によく見える場所に掲示しています。これらの研鑚を活かし、現代の子どもを取り巻く環境なども考慮しながらも慣習にとらわれることなく、子どもの発信を軸に興味を引き上げる保育内容を検討、導入して、子どもの気持ちを受け止め一人ひとりを尊重して保育にあたっています。

 

3.事故結果を分析して、怪我の予防に努めています
事故対応については、事故発生時の手順や対処、保護者への対応を書いた「事故対応マニュアル」に基づき対応しています。軽度の場合は「事故報告シート」に記載し、職員全員が確認できるようにしています。受診を伴うような事故の場合は「事故報告書」に記録しています。病院に行かない場合でも、今後のため会議等で検討した方がいい事例は「事例報告書」に記入しています。事故については職員が検討を行い、会議で出た意見等も事例報告書に書きこめるようにしています。
一つ一つの事故について、発生曜日や男女比、発生場所、時間帯、内容、原因などを蓄積分析しています。事故の予防に向けて一目で分かるよう事故マップ集計も取っています。これらを基に事故の特性を掴み、怪我の防止に役立てています。


<独自に工夫している点>
1.施設環境に応じた、子どもの年齢や発達に合わせた配慮をしています
幼児棟では、3歳から5歳児が活動をしています。登園・降園時や日中の散歩、園庭遊びなどの際に使う園児の玄関が、4、5歳児用と3歳児用に分かれています。3歳児の発達の状況を考慮し、まだ靴の着脱がスムーズにいかないこともあるため、3歳児専用の玄関として子どものペースで靴の着脱が出来るように配慮しています。3歳児用玄関を上がると、長いすが置かれ、座って靴下を脱いだり履いたり出来るように環境を設定しています。また、歩行が困難な子どもに対して、保育士のアイディアで子どもの手の付く高さに棚を配置し、子どもの目線の壁面に子どもの好きな絵本の1枚1枚を続けて貼り付けています。そうすることで、絵本1枚1枚を見ながら自然に伝え歩きができ、歩行を促せるよう工夫した環境を作っています。伝え歩きの際には保育士が必ずそばにつき、見守りながら支援しています。
個々の子どもの発達状況や年齢に合わせた配慮や様々な工夫を取り入れて、子どもが過ごしやすい環境設定を行っています。


<改善すべき事項>
1.マニュアル類のさらなる整備
各種マニュアルを備えて保育に活かしています。研修などで、新たに学んだことなどもすぐにマニュアルに追加して活用しています。しかし、マニュアルには作成年月日や、改定年月日の記載のないものも見受けられます。また、対応すべき業務については明確な記載がありますが、その対応手順についての記載が必ずしも十分でないものも見受けられます。
全体のマニュアルを見直して、作成年月日、改訂年月日の記載や手順のチャート等を取り入れて、分かりやすくするなどの工夫が期待されます。

 

2.耐震性などのチェックと保護者の理解促進
園は歴史のある保育園で地域を支援するため、園舎の増築などを行って対応してきました。保護者からは保育に感謝する一方で、園舎の老朽、震災時を心配する意見が寄せられています。
今後も地域の期待に応え、長期に園運営を行うためにも、現状での耐震チェックや、修繕計画等を保護者に示すことで、安心してもらうことが期待されます。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

人権の尊重については、子どもの気持ちを守ることを第一にしています。「保育職員の心得」には、職員としての自覚、保護者への配慮、保育に関しての心構えが記載されています。また、出生や国籍、性差による差別をしないことが明記され、職員の意識の統一がなされています。「接遇マナーマニュアル」には接遇マナーの基本など具体的に記載されています。乳児、幼児会議や運営会議では、ケース検討を行い接し方の周知を図っています。保護者とは、登降園時の挨拶や園での子どもの様子を知らせる時など笑顔でコミュニケーションを計り、信頼関係を築いています。


虐待については、「虐待対応マニュアル」に細かく記載され、職員は研修会にも参加しています。気になる子どもの様子を日々観察し、外傷の有無や園生活での言動、表情、行動の把握により、事実の経過等を記録に残しています。逗子市や児童相談所とも連携を取り、保健懇談会等では、市の保健師と情報共有を行い虐待の予防に努めています。


園の「服務規程」や「職員の心得」で情報の管理について記載があります。保護者には、重要事項説明書の中で個人情報の利用目的について説明し、「個人情報の使用等に係る同意書」に署名、捺印を得ています。見学、実習生等にもプライバシー保護について趣旨を説明し、同意書を得ています。SNS等を利用して個人情報等が拡散しないよう会議で確認しています。個人情報に係わる書類等は鍵のかかる書庫に保管しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

園のホワイトボードには、その日のクラスでの出来事や様子を掲示しています。保護者はそれを見て一日の様子を知ることが出来ます。登降園の際には保護者とコミュニケーションを図り信頼関係を築いています。行事後や年度末には保護者アンケートを取り、保護者の意見を聞いています。アンケートは集計を行い、次年度の行事や保育内容の見直しや改善などに役立てています。集計された内容は保護者にも配っています。年2回の懇談会や希望により個人面談も行っています。


食育の取り組みの一つとして、年長児は給食で使う食材の買い物に行っています。「そらまめはくびれがあって重いものを買ってきてくださいね」「どこで作った物か(産地)聞いてくださいね」と、給食の先生から言われたことを守って買い物の経験をしています。また、ブリの解体ショーも行っています。一匹の魚がどのように捌かれて自分たちの口に入るのかを見ると共に、魚の内臓をビニール袋に入れ、袋の上から触れてみる体験もしています。普段は触れることができない部分に触れ、その柔らかさを知ることで人間の体にも柔らかい内臓があり、体を大事にすること、生きるために大切なことを学び、『命の尊さ』『大切な命をいただくこと』を知る機会となっています。


勤労感謝の日にちなみ、職員に感謝の気持ちを込めて「ありがとうランチ」をしています。幼児クラスは、この日の献立のスープの具の葉物野菜やさつま揚げを手でちぎったり、根菜を包丁で切ったりしてスープ作りの手伝いをしています。また、献立のおにぎりも皆で作っています。年長児は感謝の気持ちを込めて、自分のおにぎりと職員のおにぎりも作っています。そして、給食の時に、調理や事務所の先生にプレゼントを渡しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

苦情については「苦情解決体制マニュアル」を整備し、保護者には「重要事項説明書」にて説明をし、案内掲示を玄関など見やすい場所に掲示しています。年に数回第三者委員会を開催し、サービス改善について話し合っています。


環境整備について職員で構成している環境整備プロジェクトチームと安全管理プロジェクトチームで話し合いが行われています。室内環境管理マニュアルに基づき保育室内の適正な温度、湿度の保持、換気をしています。危険物管理マニュアルに基づき薬品や洗剤の保管管理が徹底されています。玩具の消毒マニュアルに基づき衛生的で安全な環境作りのために、掃除や洗濯を行っています。遊具安全点検シート、安全管理マニュアルに基づいて月に1度遊具の安全点検を行い、危険があれば改善しています。


事故対応については、事故対応マニュアルに基づき対応しています。事故対応マニュアルには、事故発生時の手順や怪我の対応、保護者への対応などが書かれています。軽度の場合は報告シートに記入し、職員全員が見られるようにしています。受診をともなう事故の場合は事故報告書に記録しています。病院には行かなかったケースでも、今後のため会議等で検討した方がいい事例は事例報告書にまとめています。


感染症に関しては、逗子市と連携を取り、罹患状況の情報収集を行っています。感染症が発生した場合は、すぐに各クラスに伝達し、ホワイトボードにも掲示して周知を図っています。保護者には「子どもの症状を見るポイント」を配布しています。「保健たより」「園だより」で感染症に関する情報を知らせています。


災害対応プロジェクト会議を毎月行い、災害時の避難方法や内外への連絡、方法等定期的に見直しを行い改善を図っています。避難訓練計画に基づき、地震、火災、崖崩れなどを想定し、毎月避難訓練を行っています。実施記録には、計画と実施時のクラスの状況等も記入しています。全体会議で実施報告を行い、改善点について話し合っています。

4 地域との交流・連携

園内に地域の子育て支援のための施設「育児センター」を設け、年間プログラムを立てて活動しています。子育て支援の情報誌「なかよし通信」を作成し、ホームページに掲載し、配布もしています。「なかよしクラブ」や「プレイルーム」では毎週水曜日、園庭やクラスで遊んだり、育児センターでの遊びやおやつや給食の試食もしています。保育士は保護者に声をかけて、家での子どもの様子や子育ての悩みなどを聞いています。


一時預かり事業として、保護者の入院や傷病、出産、短時間勤務などの理由により子どもを保育出来ない場合に一時的に預かる一時保育も実施しています。今年度では延べ16名の利用がありました。


世代間交流事業として、近隣の中学校の職業体験や家庭科の授業の受け入れをしています。高校の委託実習では、週1回、1年以上にわたる園での実習を行っています。サマースクールボランティアでは、中学生が自分たちで企画した宝さがしを実施し園児と一緒に楽しみました。また、園児は近くの介護施設や敬老クラブのサロンに行き、高齢者と交流し喜ばれています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

職員は年度初めに自分の目標を設定し、年2回園長と面談を行っています。年度の終わりには自己評価を作成しています。この自己評価は7項目について評価をし、さらにその自己評価は園でまとめられ、まとめファイルとして保護者に配布しています。保護者も子どもと向き合う保育士の努力や工夫、配慮などを知る機会となっています。年1回の職員アンケートで、保育、行事、業務について、思うこと、感じていること等を吸い上げています。園として振り返りを行い、次年度への課題としています。


園のポスト前に園のパンフレットを置いて誰でも自由に取れるようにしています。園だより、献立表、子育て支援のおたよりである「なかよし通信」を園のホームページで毎月更新しています。「なかよし通信」は配布もしています。


保護者の保育参加期間を設けています。その期間中ならいつでも、お母さん先生、お父さん先生、として保育参加出来ます。参加した保護者にはアンケートを取り、保育に対する意見を自由に記入してもらって今後の保育の参考にしています。この保育参加は全体の3分の1以上の保護者が参加しています。

6 職員の資質向上の促進

「同胞援護会法人理念」「沼間愛児園保育理念」「保育方針」「保育目標」は1枚にまとめられ、玄関の掲示板や各保育室に掲示しています。法人の研修を通して理念に触れ、職員会議などで確認をしています。理念や方針について、各クラスで読み合わせを行い、保育についての振り返りを行っています。


年度の初めに各職員が研修計画を提出し、園長と主任が調整しています。研修参加後は、研修報告書を作成し回覧したり、会議で報告しています。保護者にも伝えたい内容の時は園内のよく見える場所に掲示したり、クラスだよりで伝えたりしています。


実習生の受け入れに際しては、「実習生の受け入れマニュアル」に基づき、オリエンテーションを行い注意事項などを説明し周知を図っています。主に主任が対応し、実習生スケジュール表を作成して、現場ではクラス担任が指導しています。

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