『防災あんしんブック(わがまち・くらし編)』を作りました!
- 分野 その他の活動分野 /
- エリア神奈川県 /
- 推進主体 民間団体(NPO等) /
神奈川県手をつなぐ育成会は、県内に暮らす知的障害児者とその家族・支援者の会です。(一社)全国手をつなぐ育成会連合会の傘下にあり、障害者に関わる中央情勢などを支部へ伝達し、市町村の声を県・国へ伝えるパイプ役でもあります。近年、会員減少に伴い活動は厳しくなりつつありますが、有益な研修会や地域の情報交換など、できることを前向きに考えながら、活性化を目指し活動しています。
令和6年元日の衝撃
元日、石川県の震災のニュースにお祝い気分が一変しました。現地の障害者はどうしているのか、避難所には行けたのか、支援は届いているのか…ニュースを見る度に胸が締め付けられました。
地震や津波、火山噴火、台風や落雷、竜巻、河川の氾濫や土砂災害、大雪に雪崩、山火事など、日本はどこに暮らしていても自然災害からは逃れられません。もし県内で大きな災害が起きたら…と考えると「今、何かできる事はないか」という気持ちが強くなりました。
令和6年度の取り組み
育成会では平成29年に『わたしのノート』という冊子を作っています。その中に緊急時のページはありますが、本人の情報を支援者に伝える内容がメインです。「もっと防災面で必要なことをまとめた物を本人に持ってもらいたい」「地域の特色も違うから防災の取り組みも違うのかな。どんなリスクや備えがあるのか知りたいね」と話し合い、県内市町村の防災情報をまとめた『防災あんしんブック(わがまち・くらし編)』を作るべく作成委員会を立ち上げました。
令和6年6月に実施した防災勉強会では、輪島市の育成会会員の方からオンラインで被災時のリアルな体験談をお聞きし「自助(備え)の大切さと、辛い避難生活では仲間とのつながりが支えになる」と学びました。会場には、東日本大震災や能登半島地震で被災地支援に向かわれた(福)みなと舎理事長の森下浩明さんを講師としてお迎えしました。森下さんの「どんな時でも障害者の人権を守ることを忘れてはいけない」という言葉が強く残りました。

『防災あんしんブック』は育成会HPから無料でダウンロードできます
ヒアリング・作成を通して得たもの
33の市町村全てに支部があるわけではありません。川崎市は「川崎市育成会手をむすぶ親の会」に協力をお願いし、支部の無い市町村にも近隣の理事や作成委員がヒアリングに伺いました。
育成会をご存じない行政職員もいらっしゃいましたが、今回のヒアリングをきっかけに関係を築き「育成会主催の障害基礎年金DVD学習会」実施に協力いただいた、という嬉しい展開がありました。また、接点の少なかった防災関係部署へ育成会と知的障害者の存在をアピールできたことも成果でした。県危機管理課ではホームページにリンクを貼っていただくことにもなりました。嬉しいことに「全ての市町村の防災の取り組みをまとめて見られるのはありがたい」と、歓迎の声もたくさんいただきました。
大きな活動は難しいと思っていましたが、作成委員を中心に多くの方のご協力があり、完成できたことが自信になりました。「一人ではできないことも仲間で取り組めばできる」と実感できたのです。
令和7年度の取り組み
令和7年度には『防災あんしんブック(じぶんのこと編)』の作成を計画しています。障害のある本人が、いざという時に落ち着いて行動できるように、自分の確認用にも、助けを求める時にも活用できるものにしたいと考えています。個別避難計画とも重なる部分はあるとは思いますが、知的障害者の家族だからこその視点でまとめることに意味があると考えています。また完成のご報告ができるよう、頑張っていきます。
