神奈川県社協について
事業計画・予算
令和7年度 神奈川県社会福祉協議会事業推進方針
人口減少・少子高齢社会が進み、福祉人材の不足や地域福祉活動の担い手の減少が課題となる中、多様な主体の協働により、持続可能な支え合いの仕組みが求められています。
国では、社会福祉法の改正を見据え、包括的な支援体制整備や身寄りのない高齢者の増加等の課題に対し「地域共生社会の在り方検討会議」において多分野の連携・協働の在り方等について検討するとともに、高齢者人口のピークを見据え、人口減少や需要の変化に応じたサービス提供の在り方・デジタル技術の活用等を検討する「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」が行われています。また、昨年発生した能登半島地震など相次ぐ自然災害に対する取り組みの強化に向けた災害救助法等の見直しにより、災害時の福祉的支援等の充実が見込まれています。
本県においては、2040年(*)までの政策目標である「新かながわグランドデザイン」の実施計画(2024-2027)をもとに、社会的孤立、生活への不安、偏見や差別・排除など地域や社会に潜在する障壁等に対応し、誰もが自分らしく生きられる社会を目指した施策が推進されています。
本会では、こうした国・県の動向を踏まえ、「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年度から令和10年度)」の2ヵ年目として、一人ひとりが尊重され安心して生活できる地域づくりを目指し、市町村域での包括的支援体制を促進するネットワーク作りや、福祉人材確保・定着、平時からの災害福祉支援活動の促進など、地域福祉の諸課題に対応して参ります。
(*)2040年は団塊ジュニア世代が65歳の高齢者となることで高齢者人口がピークを迎える一方、労働力不足の急減が試算されている
推進の柱
推進の柱Ⅰ 地域での支え合いの推進
1 多様な主体と進める地域福祉活動の推進
- 「包括的支援体制及び重層的支援体制構築支援事業」や「ケアラー支援事業」などの事業により、地域福祉の要となる民生委員児童委員を始めとした多様な主体とともに、市町村域における包括的な支援体制づくりを進めます。
- 地域での支えあい活動の担い手を増やすことが必要となる中、令和7年12月の民生委員・児童委員の一斉改選に向けて、委員活動のやりがいや魅力、仕事、子育てや介護をしながら委員活動をしていくための工夫等を発信します。
- 「ともに生きる社会づくり」の理念のもと、障害のある人の社会参加を進める「ともしびショップ」への支援、ボランティア団体等との協働による地域福祉の課題に対応します。また、世代を超え、支えあいの心が育まれるよう、市町村社協と連携して福祉教育を推進します。
- 企業の社会貢献活動と協働した事業実施や、寄附を通じて把握した社会貢献活動事例の発信・普及を図ることで、地域福祉の推進主体を広げます。
2 自立した生活を地域で支える取り組みの推進
- 親族に頼れないなど、身寄りのない人が最期まで尊厳をもって地域で暮らすことができるよう、市町村社協と連携して身元保証・終活支援の取り組みを進めます。
- 成年後見制度の利用促進に係る事業を通じて、地域での権利擁護の体制づくりに取り組むとともに、利用者の意思決定支援に向けて関係者への研修を実施します。
- 権利擁護の担い手となる市民後見人の養成に市町村社協と連携して取り組むとともに、今後に向けた市民後見人等担い手育成ついて検討を行います。
- 生活福祉資金貸付制度によるコロナ特例貸付の借受世帯に対し、償還免除等の適切な活用やフォローアップ支援を進めるなど、生活再建に向けた活動を行います。
- 生活に困窮する相談者にとって、身近なところで支援体制の構築が図られるよう、町村域における支援ネットワークの構築に取り組みます。
- 「かながわライフサポート事業」では関係団体への理解を深め、社会福祉法人に委嘱されたコミュニティソーシャルワーカーが活動しやすい環境を作り、制度の狭間にある生きづらさや生きにくさを抱える人への相談に対応します。
3 災害福祉支援活動の推進
- 災害時における福祉支援活動の民間拠点(県社会福祉センター)としての機能を発揮できるよう、福祉関係団体等と連携した神奈川県災害派遣福祉チーム(神奈川DWAT)の派遣等に係る体制整備や、ICTを活用した市町村社協との情報共有システムの運用等に取り組みます。
- 令和6年台風10号被害に係る支援活動を踏まえ、市町村社協災害ボランティアセンター等の災害支援業務に係る必要備品の整備に取り組みます。
推進の柱Ⅱ 福祉サービスの充実
1 社会福祉法人・施設の活動促進
- 経営支援事業や各種会議・研修会等を通して、社会福祉法人等の経営基盤の強化を図ります。
- 経営者部会と市町村社協部会が協働した「地域ネットワーク強化事業」の取り組みにより、横断的な地域福祉課題の解決に向けた法人相互の連携体制を強化します。
- かながわ高齢者福祉研究大会のあり方検討を踏まえ、第22回かながわ高齢者福祉研究大会(7月)と高齢者福祉施設PR委員会の活動により、現場職員の資質向上と現場の魅力を発信します。また、第59回関東ブロック乳児院福祉協議会(6月)や関東地区救護施設研究協議会(7月)、日本社会福祉施設士会関東ブロック大会の開催等の開催地として協議の場をつくり、現場の情報・課題共有を図ります。
2 利用者の権利擁護
- 成年後見制度の利用促進に係る事業を通じて、地域での権利擁護の体制づくりに取り組むとともに、利用者の意思決定支援に向けて関係者への研修を実施します。(再掲)
- かながわ福祉サービス運営適正化委員会における苦情相談への対応のほか、法人・施設における苦情解決の体制づくりに向けた支援に取り組みます。
推進の柱Ⅲ 福祉人材の確保・育成・定着の推進
1 福祉人材の確保
- 経営者部会・施設部会と福祉人材センターの連携により、人材確保に関する好事例などの情報発信を行い、福祉人材の確保を図ります。
- 就職相談会などの求職者と求人事業者が直接出会う多様な機会を作り、適切なマッチングにつなげます。また、横浜だけでなく他の市町村での地域展開を進めます。
- 潜在介護福祉士など有資格者へのアプローチを強化し、多様な再就職支援を進めます。
- 介護職の負担軽減など介護職の働く環境整備と併せて、介護助手の普及に関する活動を行います。
- 人材確保・定着支援に関する需要調査を通じて、法人、施設・事業所の課題を把握し、人材確保の方針の反映などにつなげます。
- ハローワーク、職能団体や介護人材養成施設など関係団体と課題を共有し、人材確保に関する情報の収集・提供を行います。
- セカンドキャリアなど、より多くの人が福祉の仕事に就くことを考えることができるよう、福祉の仕事の理解促進に取り組みます。
- 各種貸付事業を通じて、福祉・介護・保育に関する資格取得支援並びに有資格者の福祉施設等への就労支援を行います。
2 福祉事業従事者の育成
- 福祉人材の専門性の向上にむけて、法人・事業所との連携を図り、①福祉人材の専門性の向上にむけて、法人・事業所との連携を図り、研修実施機関としての研修体系を整備します。また、職場において、職員育成・支援の仕組みが強化されるための研修に取り組みます。
推進の柱Ⅳ 県社協活動基盤の充実
1 課題共有の促進と提言
- 各部会・協議会・連絡会の活動や政策提言活動を通じて把握した社会的孤立などの地域福祉の課題に対して、関係機関と協働しながら、広域機関としての役割を発揮し、課題解決に向けた活動を進めます。
- 計画の進行管理に当たっては、社会福祉以外の関連領域の団体と意見交換を行いながら、社会福祉に関する広域機関としての機能を確認し、県社協としての役割を踏まえて計画を進めます。
2 組織・活動基盤の整備
- 社協活動への理解を図るため、大学生に向けたインターンシップや職場見学会を行います。
- 業務の標準化に向けて、グループウェアなどの情報共有システムを活用することにより、ICT化を進め、業務の効率化を図ります。
「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年度から令和10年度)」では、会員や関係者と総体的に取り組む課題や社会情勢に応じた課題として、次の3つの重点課題を設定し、事業間連携を図りながら、その解決に向けた活動を推進します。