福祉タイムズ
Vol.883(2025年6月号)
このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.883(2025年6月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。
テキストデータ作成に当たって
このデータは、『福祉タイムズ』 vol.883 2025年6月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
二重山カッコは作成者注記です。
P1
福祉タイムズふくしTIMES
2025.6 vol.883
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
Contents
特集 P2 住民活動の意義の再確認と多世代の参画促進 地域の担い手づくり検討会(ロコ発掘調査隊)活動報告
NEWS&TOPICS P4 県「こども施策」に関する条例・計画の施行 県次世代育成課
P6 LET’S EXPO── 行こう。あきらめていた人と。 関西イノベーションセンター
企業の社会貢献活動 P9 地域に根差し、未来を育む金融機関の取り組み 横浜幸銀信用組合
県社協のひろば P10 社協のネットワークを活かした潜在介護福祉士等の再就労支援-「介護の仕事はキライじゃない人向けセミナー」の開催
今月の表紙
紙皿に色とりどりの生花を貼り付けて、アート皿を作成する中学生と、講師の泊口直江さん。
アート葉山は、創作活動を通じて多様な人とつながり、お互いを認め合うインクルーシブな居場所になっている。
詳しくは12面へ➡(撮影:菊地信夫)
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特集
住民活動の意義の再確認と多世代の参画促進
地域の担い手づくり検討会(ロコ発掘調査隊)活動報告
少子高齢化、人口減少の影響等により課題となっている地域活動の担い手不足。本会では、民生委員・児童委員や地区社協等の地域福祉を支える担い手の確保に向けた環境づくりを検討するため、令和3年度より「地域の担い手づくり検討会」(以下、ロコ発掘調査隊(愛称))を開催しています。本検討会では、大学、民生委員・児童委員、自治会関係者、市社協、行政の多様な主体が参画し、担い手確保の課題を共有し、必要な方策を考えてきました。今回は、本検討会での協議から実現した担い手づくりに向けた試行的な取り組みを報告します。
※愛称に使用した「ロコ」は、ハワイの言葉で「地元の人」を意味します
地域の支えあいの変容
かつては電球の交換やゴミ出しといった日常生活の〝ちょっとした困りごと〟の解決は、地域住民の支えあいの中で行われてきました。
人口減少や少子高齢化、ライフスタイルの多様化や個人主義の広がりを背景に、人とのつながりが希薄化し、県内でも自治会・町内会の休止や解散の事例が聞かれ、身近な地域での支えあう力が低下してきています。
一方、各々の興味・関心で集まり活動するテーマ型のボランティア活動や、NPO法人等による特定の地域活動、タワーマンションの管理組合が自治会の役割を担う事例など、多様な地域活動も増えています。勤務先や過去の居住歴等、何らかの形で地域とつながりを持つ「関係人口」と呼ばれる定住者以外の人材が地域づくりを担う取り組みも見られます。
ロコ発掘調査隊で若い世代の参加方策を検討
地域づくりの担い手をめぐる問題について、ロコ発掘調査隊では県内で取り組まれている活動のヒアリングを重ね、持続可能な住民同士の支えあい活動のあり方を検討してきました。
その中で、若い世代が身近な地域活動に触れ、地域に変化をもたらす各地の取り組みに注目しました。そこで、ロコ発掘調査隊のメンバーである東海大学と厚木市社協の協働により、学生と地域との接点をつくり、地域活動への関心の向上および参加促進につなげていくためのきっかけづくりを厚木市小鮎地区で試行的に取り組みました。
東海大学×厚木市小鮎地区による学生の地域活動体験
東海大学では地域を基盤にした実践的学習として、フィールドワークを通して地域団体や住民らとともに課題解決を探る授業を行っていましたが、継続的に関わることができる地域が多くはない状況でした。
一方、厚木市小鮎地区で活動している「小鮎ボランティアの会」は、昭和60年から地域の高齢者らの仲間づくりやふれあいの場として、ほぼ全ての地区でミニデイサービスなどを行っていましたが、高齢化による担い手不足やプログラム作りの負担などの課題を抱えていました。
お互いの課題感が共有された後、学生側は「地域活動の楽しさとやりがいを知る」「社会福祉への興味・関心を高める」「地域活動が支えているヒト・コトについて学ぶ」などを目的に、ボランティアの会側は「学生の参加による活動の活性化」「現在の担い手層以外へのアプローチに向けたきっかけづくり」などを目的に、フィールドワークの内容を検討しました。
フィールドワークでは、200人規模の地域住民が集うお楽しみ会の前日準備や当日の運営、各地区で開催されるミニデイサービスでのプログラムの実施、民生委員・児童委員の戸別訪問への同行に取り組みました。
ミニデイサービスでは普段授業で学んでいることを活かし、高齢者向けの体操やパラリンピックの競技種目の一つであるボッチャというスポーツを行いました。最初は緊張した様子も見られましたが、参加者の笑顔や温かい声かけによる和やかな雰囲気の中、普段接する機会が少ない、世代を超えた交流をすることができました。
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学生からは「自分で考えて実践することが楽しかった」「体操の知識を地域で発揮できることを知った」「女性の参加者が多く、男性は孤独になりやすいのでは」などの感想や気づきがあり、参加者からも「若い人が来てくれて活気があった」「いつもと違った内容で楽しかった」と喜びの声が聞かれました。
民生委員・児童委員による訪問活動では、民生委員活動への理解だけでなく、一緒に町を歩くからこそ気づける、高齢者の生活環境を理解することも目的としました。地域の高齢者に困りごとを直接聞き「日頃話をする機会が少なく、訪問を楽しみに待っていることが分かった」「顔が分かる人が近くにいることの大切さを感じた」「さまざまな理由から人と関わる機会が少なく、孤独・孤立が生まれる理由に気づいた」などの感想が挙がりました。
これらの体験を通して、高齢者が地域で孤立することなく、安心して生活を続けられるためには、人が集える場所があること、集うことができない方とは訪問等でつながり続けること、その両方の必要性と、活動を担う地域住民の思いや力に気づいてもらうことができました。
〈写真2点〉
フィールドワークのプログラム(一部)
ミニデイサービスでの体操の様子
民生委員との同行訪問の様子
〈写真2点終わり〉
地域活動体験の振り返り
令和5・6年度に小鮎地区で実施し、ご協力いただいた皆さんから感想をいただきました。
学生からは「どの活動も高齢の方の心身・社会的な健康に重要な役割がある」「知らなかった民生委員の活動、地域の課題、高齢者の暮らしや悩みなど、多くのことを深く学べた」「長年続いている活動は地域の皆さんの努力があってこそだと感じ、凄いことだと思った」との感想が集まりました。また「民生委員が不足していることを知り、将来自分も担えないか考えたい」「地域に関わるボランティアの募集や世代間の交流があれば、積極的に参加しようと思った」と、今回の体験を通して若い世代が地域の課題に気づき、活動に目を向けるきっかけになったことが分かりました。
大規模災害の発生、独居高齢者の増加等、公助だけに頼ることができない中で、住民が主体となって行う支えあい活動・組織の意味は重要性を増していると言えます。
地域福祉を支える担い手不足に対して即効性のある解決策を導き出すことは難しいですが、本会「ロコ発掘調査隊」では住民活動・組織の意義や価値を再確認し、多世代が活動につながるための方策、行政が果たす役割等について、今後も検討を重ねていきます。(地域課)
〈囲み〉
ロコ発掘調査隊メンバーと協力してくださった住民の方から寄せられたフィールドワークの感想
東海大学教授(当時) 妻鹿ふみ子さん(メンバー)
学生にとって「高齢化」「担い手不足」という言葉は聞いたことがあっても、実感をする機会は少ないと思います。今回のフィールドワークを通して、高齢者の方が孤立しないように集える場があることの大切さや、住民同士の支えあい活動の意味について理解が深まり、地域の現状を実感することができたと感じています。また、皆さんに温かく迎え入れてもらえたことや、役割を持ったことにより、学生である自分たちの持つ力の大きさや、地域の中で力を生かせる場所があることに気づけたと思います。この経験を生かして、自分の住んでいる地域にも目を向けて、地域活動に一歩踏み出してくれることを期待しています。
小鮎地区地域福祉推進委員会 委員長 村井久雄さん(メンバー)
80歳以上の高齢者が集まる「お楽しみ会」では、前日の準備から当日の参加者への楽器配布まで行ってもらい、高齢者が自分の孫世代の学生達に楽器を手渡されている姿が楽しそうでした。ミニデイサービスでは、学生達が考えてきた体操やゲームに真剣に向き合う高齢者の顔がほがらかな様子で、見守り支えあい事業では、地区内で暮らす方々の自宅に民生委員・児童委員とともに訪問し、学生達から声をかけられた方々が笑顔で話をする様子が印象的でした。自分の地域がどのような事をしているか知り、地域づくりの担い手になってもらいたいと望みます。
小鮎地区民生委員・児童委員 若原ツヤ子さん
ミニデイサービスでの学生との会話の中で、ある女性の方が「大恋愛をしてみたかった」と言われていました。その言葉から、戦争があり、社会的な通念で恋愛もできなかった時代があったことを学生さんも知ったようでした。世代間交流として相手を理解し、社会的背景を考え、次の世代につなぐいいチャンスになったのではないかと思っております。
厚木市社会福祉協議会 圡屋さん・石田さん(メンバー)
2年間、フィールドワークの受入を行い、福祉を学んでいるかどうかにかかわらず、さまざまな大学生が地区へ来てくれたことで、市社協にとっても新たな気づきを得る機会となりました。担い手不足が課題である中、このような事業を通じて少しでも多くの人に地域事業への興味・関心を持っていただく必要性を感じています。大学生にとっての学びや気づきはもちろん、地区の方々を元気にしてくれる効果が絶大でした。日常生活では多世代で交流することが少なくなっている現代ですが、今後も市社協が多世代交流の一助を担っていきたいと考えています。
〈囲み終わり〉
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NEWS&TOPICS
県「こども施策」に関する条例・計画の施行
●条例制定・計画策定の経緯
令和7年4月1日に「神奈川県こども目線の施策推進条例」(以下、条例)および「かながわ子ども・若者みらい計画」(以下、計画)が施行されました。条例を制定した経緯は次のとおりです。
県は、平成19年に「神奈川県子ども・子育て支援推進条例」 を制定し、 さまざまな子ども・子育て支援を推進してきました。
しかしながら、いじめ、虐待、貧困等のこどもが直面する問題は依然として減少しておらず、近年は新たに、ヤングケアラー、医療的ケア児等に係る課題も顕在化してきました。また、個人と地域社会および他者との関わりが希薄になる中で、孤独・孤立の状態にあるこどもの問題や子育て家庭の孤立化など社会全体としての課題も浮き彫りになってきました。
こうした状況の中、令和5年にこども基本法が施行されました。同法においては、こどもの意見を国や地方公共団体の施策に反映させるための措置を講ずることが求められています。県においても、こどもに対するあらゆる差別を許さず、その権利および意見を尊重し、その最善の利益を考慮して、こどもの目線に立った施策を推進していくことが必要と考えました。
これらのことから、こども目線の施策を推進することによって、全てのこどもに笑顔があふれ、誰もが幸せに暮らすことができる
〝いのち輝く社会〟を実現するため、条例を制定しました。さらに、条例の考え方に基づく具体的な取組・事業をとりまとめたものとして、計画を策定しました。
●条例の概要
条例の目的は、第1条において、こども目線の施策の推進について基本理念を定め、県やこども・子育て支援機関などの事業者および県民の責務を明らかにするとともに、こども目線の施策を推進するための基本となる事項を定めることにより、誰もが自分らしく幸せに暮らすことができる社会の実現に資することを目的としています。ポイントとして、次の4点があります。
①「こども目線の施策」とは
こども一人一人の立場に立ちその望みと願いを尊重しながら、こどもが自分らしく幸せに暮らせるよう、こども、父母その他の保護者等を支援し、社会全体でこどもを育むことができる環境を整備するために実施するこどもに関する施策およびこれと一体的に講ずべき施策をいいます。
②こどもの権利の保障
基本理念の先頭に、生命の尊重、差別を受けないこと、意見の尊重および最善の利益の考慮等を規定しました。
③ こどもの意見表明の機会確保・意見の反映
こどもの社会参画の機会の確保、意見表明と反映および結果の伝達について、また、こどもが主体的に政策の立案に参加できる取組について新たに規定し、第2章(基本的施策)の先頭に位置づけました。
④近年顕在化した課題へ対応
こどもの居場所づくり、ヤングケアラーなど、こどもや子育て家庭が直面する課題について施策を講じる旨を規定しました。
なお、こども基本法では「こども施策の策定等に当たってはこどもの意見を反映するために必要な措置を講ずること」としていますが、条例ではさらに一歩踏み込んで、こどもに意見を聴いた後、県はどう考え、どのように対応したかという結果をこどもにフィードバックすることも規定しています。
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●計画の概要
計画は、こども基本法や子ども・子育て支援推進法、条例等を根拠として県の子ども・若者施策を一体的に推進することができるよう、「子ども・子育て」「若者支援」「子どもの貧困対策」に関する既存の3つの計画・指針を統合し策定しました。
県における今後の子ども・若者施策の新たな道しるべとなる条例・計画を車の両輪として推進していくため、計画の基本理念・基本方針の内容は、条例の目的・基本理念に沿って定めています。
施策体系については、こども大綱の構成を参考に、子どもの貧困対策などライフステージ全般にわたる横断的な施策や、結婚・妊娠・出産・育児などの各ライフステージに応じた、5つの主要施策に分類し、それぞれに具体的な取組と数値目標を設定しています。特に、子ども・若者の意見表明についてはその重要度に鑑み、主要施策の先頭に位置づけました。
意見表明の具体的な事業として、対面形式で県が子ども・若者から意見を直接聴く「みらい☆トーク」のほか、子ども・若者の提案を実現していく「子ども・若者みらい提案実現プロジェクト」などを位置づけています。
また、子ども・若者からの意見については、意見ごとに県の考え方や関連情報を1枚の資料にまとめ、直接フィードバックするとともに、県ホームページにも掲載していきます。
〈コラム〉
【条例と計画での「こども」の表記の違いについて】
こども基本法では「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定義しており、条例においても、年齢に関わらず必要な支援を切れ目なく行っていく観点から「こども」と表記しています。
一方で、具体的な事業を位置づけていく計画においては、各事業のメインターゲットを明確に示す意味合いから、こども大綱を参考に、0歳から18歳までの「子ども」と、思春期・青年期の「若者」の2つの言葉で表記しています。
〈コラム終わり〉
●条例・計画を分かりやすく
伝えるために
条例・計画が目指す社会の実現に向けては、子ども・若者や子育て家庭をはじめとした県民、市町村、事業者などの皆様とともに、進めていかなければなりません。
そのためには、条例・計画の基本理念や目的などを広く県民の皆様と共有し、実践していくことが必要です。
そのための一歩として、条例・計画の「分かりやすい版」を作成し、その周知に努めていきます。
「分かりやすい版」の作成に当たっては、子ども・若者の意見を聴きながら、内容や使用する媒体について子ども・若者の目線を踏まえて作成していきます。
「分かりやすい版」が、子ども・若者の皆さんの意見表明や社会参画の一助となれば幸いです。
●おわりに
当事者である子ども・若者はもとより、県民の皆様から幅広くご意見をいただきながら「こども目線の施策」を推進していきたいと考えておりますので、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。(県次世代育成課)
〈QR〉
県ホームページ
条例について
計画について
〈QR終わり〉
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NEWS&TOPICS
LET’S EXPO ─ 行こう。あきらめていた人と。 ―誰もが楽しめる万博を目指し、多彩なサポートを提供
2025年4月から、55年ぶりに大阪で開催されている大阪・関西万博(以下、万博)。世界中から注目を集める一大イベントに「本当は参加したいが、それは叶わないだろう」と感じている方々がいます。そうした声に応えるために立ち上がったプロジェクトが「LET’S EXPO(レッツエキスポ)」です。
昨年、本プロジェクトが行ったアンケート調査では、身体に不自由を抱える高齢者471名のうち、90・9%が外出や旅行を「諦めた」経験があると回答しています。また、大阪・関西万博についても「行きたい」「どちらかといえば行きたい」と答えた方が86・4%に達する一方で、98・1%が「行けない」「どちらかといえば行けない」と感じていることが明らかとなりました。
こうした声を受け、本プロジェクトは「簡単には参加できない方々」の万博参加を実現するための、ユニバーサルツーリズムプロジェクトとして立ち上がりました。現在は約700名のボランティアスタッフとともに、会場内の移動支援や来場が難しい方に向けたオンライン体験の提供など、誰もが楽しめる万博を目指してさまざまなサポートを展開しています。
対象者は、全国に約1,200万人いるとされる要支援・要介護認定を受けた方や障害者手帳をお持ちの方々、高齢の方々。内容は「会場内サポート」「オンラインツアー」「バーチャル体験サポート」の3つです。
1「会場内サポート」では来場者が万博会場内をスムーズかつ安全に移動できるよう、利用者1名に対し2名以上のボランティアスタッフが付き添い、きめ細やかな移動サポートを行なっています。
2「オンラインツアー」では、万博の雰囲気や各パビリオンの魅力をリポーターが生中継でご案内しています。スマートテレビやスマートフォンがあれば、自宅にいながら臨場感あふれる体験が可能で、生中継時にはチャット機能を活用したコミュニケーションやクイズ等、参加型のコンテンツもお楽しみいただけます。これまでに「三菱未来館」「住友館」「電力館 可能性のタマゴたち」等のパビリオンをご案内しました。最近では全国各地でパブリックビューイングイベントも開催されており、ツアーの参加者は右肩上がりに増え続けています。
3「バーチャル体験サポート」では全国の学生ボランティアが高齢者施設を訪問し、外出が難しい方々の「バーチャル万博」への参加をサポートしています。「バーチャル万博」では、実際の会場を再現したバーチャル会場にアバターとして入り込み、バーチャルならではの展示やイベントを楽しめます。
これまでに利用者からは「万博に行けてよかった」「おかげで万博を満喫できた」といった喜びの声を多数いただいております。これら3つのサポートについて、今後は提供日を拡充するなど、さらなる体制強化を予定しています。
〈写真〉
「会場内サポート」ご利用者様(大阪・関西万博会場内にて撮影)
〈写真終わり〉
LET’S EXPOが目指すのは「行きたかった」「できなかった」という切実な思いを「参加できた」「心から楽しめた」という喜びに変えることです。これまで当たり前のように諦めざるを得なかった方々に、希望と選択肢を届けたい。そう私たちは考えています。
また、私たちの挑戦は万博期間中だけのものではありません。本プロジェクトを一過性のイベント支援に終わらせることなく、その先の未来へとつなげていくこと──それがLET’S EXPOのもう一つの使命です。身体的な不自由や年齢、環境を理由に何かを諦めなくてはならない社会ではなく「誰もが当たり前に参加できる社会」の実現に向け、万博という国際的な舞台から、本プロジェクトの背景や利用者の声を世界に向けて引き続き発信していきます。
今回ご紹介した3つのサポートへのお申し込みは、公式ホームページから受け付けています。万博に「参加したい」と思う方、そして身近な方を「参加させてあげたい」と願う方は、ぜひLET’S EXPOをご活用ください。(関西イノベーションセンター)
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福祉のうごき 2025.4.23〜5.26
厚木市 スマホを使い、遠隔で視覚障害のある人の移動をサポート
厚木市は5月1日、スマートフォン専用アプリを活用し、専門オペレーターが視覚障害のある人に対して視覚情報を音声情報として提供する「視覚障がい者遠隔サポートシステム」の提供を開始した。本システムの導入は県内で初めて。
厚労省 2040年に向け、介護人材の確保・定着について検討
厚労省は5月9日、社会保障審議会福祉部会に「福祉人材確保専門委員会」を設置し、第1回委員会を開催した。「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」中間まとめを踏まえ、若者・高齢者・未経験者等の多様な人材の確保とマッチングの方策、介護現場で中核的な役割を担う介護福祉士の確保やキャリアアップのあり方、潜在介護福祉士の活用、外国人介護人材の確保・定着に向けた対策等の検討を行う。
全国知事会 報酬改定を緊急要望
物価高や2024年報酬改定の影響を受けて、介護事業者等の経営環境が厳しい状況にあることを受けて、全国知事会は5月15日、厚労省に対し介護・障害福祉サービスの基本報酬の次期改定(2027年)を待たずに臨時改定することや、物価や賃金の上昇に応じて適切に報酬をスライドさせる仕組みを要望した。
厚労省 障害者支援施設の地域移行推進を検討
厚労省は5月26日、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を設置し、第1回検討会を開催した。障害者支援施設の役割・機能を踏まえ、意思決定支援の在り方、重度化・高齢化・看取りへの対応、地域生活を支える機能、緊急時や災害時の対応、「親なき後」の居住支援の対応などが議論される。障害福祉計画の基本指針の見直しや、次期報酬改定に反映される。
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私のおすすめCHECK!
◎ このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。
季節を楽しむ…
すっかり梅雨の季節ですね。降り続く雨にはげんなりしますが、梅雨の時期は“梅仕事”の季節でもあります。
“梅仕事”とは、この時期に採れる梅の実で梅干しや梅酒を作ること。
梅干しは、おにぎりにしたり、梅ご飯に炊き込んだり、と夏の食欲がない時の軽食に重宝します。熱中症対策にも欠かせません。
今回は、季節の恵みを楽しむ、“私の梅仕事”についてお伝えします。
今月は→ピアサポートよこはまがお伝えします!
がん体験者が、がん患者と家族の相談支援活動をする団体です。県との協働事業からスタートし、その後も自主運営として継続、14年間で1700件余の相談を受けてきました。現在はオンラインのみでの活動です。
〈連絡先〉
Mail:peer.remote@gmail.com
FB:https://www.facebook.com/peersupportYokohama/
ブログ:https://ameblo.jp/peer-yokohama/
四季折々を楽しむ
日本には四季があり、四季折々の恵みと楽しみがあります。
お正月にはお節料理やお雑煮、花びら餅を、節分には豆をまき年の数だけいただきます。桃の節句には桃の花を飾り菱餅や蛤の潮汁を、端午の節句には菖蒲湯に入り柏餅やちまきを頬張り、夏越しの祓(なごしのはらえ)には茅の輪をくぐり、かき揚げと水無月(ういろうのようなお菓子)をいただきます。七夕には天の川に見立てた素麺と切り口が星の形に見えるおくらを味わいます。というように、それぞれの行事と食べ物には、いわれがあり、昔の人の知恵がたくさん詰まっています。
忙しい現代は、季節感が薄れてきていると言われますが、食いしん坊の私は、食を通じて季節を感じています。夏休みが終わると、街はハロウィンに。ハロウィンが終わるとクリスマスの飾りつけになり、大人もワクワクする季節が訪れますね。
今回は今の時期に旬を迎えるこの時期ならではの梅の楽しみ方についてご紹介します。
梅仕事
今年もまたこの季節がやってきました。
毎年、親戚から梅の実を分けていただいて、梅酒に梅干し、梅シロップを作っています。台所いっぱいに広がる梅の香りを嗅ぐことができるのも、この季節だけ。季節限定の楽しみです!
梅シロップはノンアルコールなので、子どもやアルコールが苦手な人も楽しめます。炭酸水で割るのが私のお勧め。甘味控えめで作っておいて、お好みでガムシロップを加えます。梅の爽やかな香りは、蒸し暑い夏の飲み物にぴったりです。最近ではペットボトル飲料にもあるようです。手軽に楽しめていいですね。
梅酒
梅酒を作り始めて、もう何年になるでしょうか?
毎年、梅に対してどのくらいお砂糖を入れるか、理科の実験のように、少しずつ分量を変えて試しています。容器を準備し、梅を洗いよく拭いてヘタをとり、大きめの瓶に梅と氷砂糖を交互に入れて…最後にホワイトリカーを注ぎます。飲みごろまでに3カ月ほど。長く置くと、より芳醇な香りが楽しめます。今年は、どんなお味に仕上がるのでしょう。楽しみです。
〈写真〉
2年物の梅酒。琥珀色になってきました
〈写真終わり〉
できあがったら、食前酒として。私はオンザロックで飲むのが好きですが、ソーダ割も人気です。ソーダ割をゼラチンで固めて大人のデザートにもできます。冬はお湯割りで温かくしても楽しめます。
梅干し
梅干しは、梅酒よりは少し手間と時間がかかりますが、最近はインターネットを検索すると、簡単な作り方がすぐに出てきますので、それを参考に、できるだけ手間をかけずに作っています。土用には、三日三晩の天日干しをしますが、夕立の季節なので、急な雨には要注意です。空を見上げてお天気と相談しながらの作業となります。
〈写真〉
甘味のついた梅干しが苦手なので、塩とシソだけで漬けます
〈写真終わり〉
土用といえば…ウナギですね。無事に干し終わったら、梅仕事のご褒美にいただくことといたしましょう!
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企業の社会貢献活動 共生社会づくりをすすめる、企業の“チカラ”
地域に根差し、未来を育む金融機関の取り組み -横浜幸銀信用組合
本会児童福祉施設協議会を通じた子どもたちへの支援をはじめ、さまざまな社会課題に対し、金融機関としてできる社会貢献活動に取り組む横浜幸銀信用組合の皆様にお話を伺いました。
―社会貢献活動をはじめたきっかけや経緯を教えてください。
当組合では、2020年の本店新築移転を機に「新しい場所で何か地域の役に立てることができないか」という思いから検討を重ねました。その結果、「こどもの未来を応援する」というテーマにたどり着きました。きっかけは、職員が地域貢献の一環として、寄付型自動販売機をランチルームに設置することを役員に提案したことでした。これに対し、理事長から「お客様向けの飲み物についても1本10円の寄付を募ってはどうか」との助言があり、内閣府(現こども家庭庁)の「こどもの未来応援基金」への寄付の仕組みを導入しました。
〈写真〉
お話を伺った横浜幸銀信用組合の皆さん
〈写真終わり〉
その際、児童養護施設の現状についてお話を聞く機会がありました。中でも「夏休みのイベントに参加したことで初めて夏休みの絵日記が書けた」という子どもの話に、私たちにとっては当たり前の体験がそうではないという現実を目の当たりにして衝撃を受けました。日本でも子どもの貧困が深刻であることを知り、個人ではなく組織として支援する必要があると感じ、継続的に取り組む「こどもの未来プロジェクト」として進めることを決意しました。
―活動で印象的だったことはありますか。
「こどもたちの未来のために私たちができること」をコンセプトに掲げ、地域社会への貢献と次世代育成を目的として、プロスポーツクラブとのスポンサー契約を通じた活動をしています。
当組合では、プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」のスポンサーとして、毎年夏に「冠試合」を開催していますが、この試合では、県内の児童養護施設の子どもたちやその関係者を招待し、プロ野球の観戦体験を通して感動や夢を届けています。また、同球団OBがコーチとなった「野球教室」も開催しており、参加する子どもたちは選手とふれあいながらキャッチボール等を体験することができます。性別を問わずスポーツの楽しさや協力することの大切さを学べる貴重な場となっています。
実際に観戦した子どもたちから「初めてプロの試合を観られた」「将来はプロ野球選手になりたい」といった感想が書かれたお礼のお手紙をいただき、招待して本当に良かったと感じています。同時に、どのような環境や状況の子どもたちにも夢や希望を持ってもらえるよう、今後もそのお手伝いを続けていきたいと強く思っています。こうした活動を通じて、多くの方々との出会いが生まれ、地域とのつながりも広がっています。
〈写真〉
野球教室に参加した子どもたちから寄せられたメッセージから楽しんでいた様子が伝わりました
〈写真終わり〉
―今後の展望を教えてください。
これまで展開してきた社会貢献活動を単発で終わらせず、継続し、広げていくことが大切だと感じています。今後は、活動をより体系的に推進するため、プロジェクト化をさらに強化し、職員一人ひとりが「こどもたちの未来のために私たちができること」を自主的に考え〝これならできる〟を見つけ、実践していけるような体制を整えていきたいです。そして、活動のきっかけとなった言葉やそのとき感じた思いを大切に、当組合にしかできない社会貢献活動を続けてまいります。
〈囲み〉
横浜幸銀信用組合
創業:1962年2月28日
住所:横浜市中区尾上町5-77-1
横浜幸銀信用組合の社会貢献活動の詳細はHPよりご覧ください
HP: https://www.yokohamakougin.co.jp/about/torikumi.html
〈囲み終わり〉
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県社協のひろば
社協のネットワークを活かした潜在介護福祉士等の再就労支援-「介護の仕事はキライじゃない人向けセミナー」の開催
本県の介護福祉士登録者数は令和7年3月31日現在で12万4千人にのぼり、全国で3番目の多さですが、実際に介護の仕事に従事していない「潜在介護福祉士」が一定数いると言われています。
本会かながわ福祉人材センター(以下、センター)が行った調査(※)では、介護職の離職理由は「家庭・家族の状況(介護・看護等)」「職場環境(人間関係含む)」といった回答が多く挙げられました。センターでは「潜在介護福祉士」の中でも「介護の仕事はキライじゃない人(条件等が合えばまた介護の仕事をしたいと思う人)」を対象に、再び安心して介護の仕事に就けるよう再就労支援セミナーを実施しています。
〈写真〉
令和6年度セミナープログラム(チラシ抜粋)
〈写真終わり〉
● 社協らしい事業展開
(公社)神奈川県介護福祉士会では、研修テキスト「尊厳を支え 自立支援に配慮した 認知症ケア」を作成していますが、センターでは、2040年問題や認知症高齢者の増加を踏まえ「最新の認知症ケア」をテーマに、実践に即した5日間の研修プログラムを共同企画し、潜在介護福祉士等の再就労支援セミナーを開催しました。
地域での事業展開を行うため、大和市をモデル地区に選定し、市社協・事業所とも連携しました。市社協では若年性認知症の本人と家族のつどいである「わすれな草の会」を支援してきたことから、セミナーでは、両者に登壇いただき、地域で暮らす認知症当事者・家族への支援のあり方を考え、参加者同士で意見交換を行いました。市社協を介して当事者団体とのつながりを持つことで、セミナーの内容をより深めることができました。
特別養護老人ホーム「ル・リアンふかみ」では、利用者の生活や認知症ケアの様子、ICTを活用したケアの実際を見学することで、これまでの学びを実践に引き付けて振り返ることができました。
今回のプログラムでは、職能団体・市社協・当事者団体・事業所との連携・協働を重視しました。これからもセンターでは、社協らしい事業を展開していきます。
●有資格者が集える場の必要性
セミナーでは参加者同士で交流しながら、5日間で延べ32名が「最新の認知症ケア」を学びました。認知症高齢者とのコミュニケーションは、ロールプレイを行うことで自らを客観視することができました。
セミナーを通して介護福祉の奥深さ、難しさを共有できる仲間づくりができ、参加者からの「介護を知っているつもりになっていた」「困った時に相談できる仲間が増えた」「一緒に学び合える場があって良かった」といった声からは、互いに専門性を高め合う姿が見られました。
今後もセンターでは求職者の個別相談をはじめ、就職相談会やセミナーなどを、社協のネットワークを活かしながら各地域の法人・事業所とともに進めてまいります。
(人材センター)
※ 令和5年度社会福祉施設等の人材確保に関する需要調査
〈写真〉
セミナーでは、参加者同士のやり取りから介護福祉の新たな学びや気づきがありました
〈写真終わり〉
〈コラム〉
介護の資格 届出制度
登録いただいた介護関係の資格保有者の方へ、介護に関する最新情報や研修等の情報をお伝えします。再就労支援セミナーの情報も届出制度から発信しました!
ぜひ下記二次元コードよりご登録ください。
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information
役員会の動き
◇監事監査=5月16日(金)①令和6年度事業報告並びに決算報告(案)
◇理事会=6月4日(水)①正会員の入会申込み②理事候補者の推薦③監事候補者の推薦④評議員候補者の推薦⑤各種委員会委員の選任⑥定款の一部変更(案)⑦令和6年度事業報告並びに決算報告(案)⑧評議員会の招集
新会員紹介
【経営者部会】(福)泰明会
【施設部会】たっちほどがや
本会主催の催し
福祉の仕事
就職相談会2nd(橋本)
①就職支援ガイダンス(事前申込制)
②福祉施設等就職相談会
◇日時=令和7年7月18日(金)①12時40分~14時②14時~16時
◇会場=杜のホールはしもと
◇参加費=無料
◇ 対象者=福祉の仕事に就きたい方、福祉の仕事に興味・関心がある方
◇申込=URLより申込み
URL:https://x.gd/rr6vW
詳細・その他のイベント日程についてはHPにて確認
HP:https://www.kfjc.jp/event/detail.asp?id=21159
◇問合せ=かながわ福祉人材センター
TEL 045-312-4816 Mail: jinzai@knsyk.jp
寄附金品ありがとうございました
【県社協への寄附】古積英太郎
【交通遺児等援護基金】(株)エスホケ
ン、(一社)神奈川県指定自動車教習所協会
【子ども福祉基金】脇隆志、(株)エスホケン
【ともしび基金】石田隆、栗田航伎、中村浴場、古口玲斗
以上、合計18件(匿名含む)2,136,772円
【寄附物品】(公財)報知社会福祉事業団
【ライフサポート事業】〈寄付物品〉
(N)セカンドハーベスト・ジャパン
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ともしび基金へ寄附をいただき、令和7年5月22日、㈱マルエツ 経営管理本部コンプライアンス部 城生晴男課長(左)に感謝状を贈呈
児童福祉施設等へアイスクリームを寄贈いただき、令和7年5月27日、関東アイスクリーム協会 河野泰幸理事長(左)に感謝状を贈呈
〈写真2点終わり〉
社会福祉法人の経営相談のご案内
社会福祉事業の経営・運営を支援することを目的に、県内の社会福祉法人や福祉施設からの経営や運営に関する相談をお受けしています。
一般相談のほか、必要に応じて弁護士・公認会計士・社会保険労務士等からの専門相談も対応しています。お気軽にご相談ください。
ケアラー支援専門員設置事業のご紹介
市町村・各種相談窓口からのケアラー・ヤングケアラーに関する相談に応じ、必要に応じて支援ネットワークのコーディネートを行います。また、課題共有や理解普及のための研修会の開催、企画、登壇等に応じる取り組みを行っています。
詳細はHPにて確認
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本会第2種・第3種正会員連絡会の構成団体が行う活動を紹介しています
てんかんと共に自分らしく生きる。
日本てんかん協会神奈川県支部の紹介
ぜひHPからご覧ください
https://knsyk.jp/service/kaiin/movie
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かながわほっと情報
アートを通じて育まれる、多様性とつながりの場
アート葉山(葉山町)
アート葉山は葉山町の多機能型事業所「hanto」に併設される、障害の有無にかかわらず児童・生徒、大人など、誰でも参加できる造形教室です。25年にわたり活動を続ける代表の杉野三千代さんが教室を立ち上げたきっかけは「障害のある娘を習い事に通わせたい」という思いからでした。最初は障害のある子どもだけの造形教室でしたが、近所の子どもたちや展示会を訪れた80代の女性からの参加希望を受けて、誰でも参加できる「アート葉山」が令和元年に誕生しました。
みんなちがって、みんないい空間
現在は10名が在籍しており、不登校の子どもや障害のある子、中高生や年配の方など、多様な人が参加しています。陶芸や版画など当日の制作内容は講師が決めますが、作品に「こうしなきゃいけない」という指導はせず、子どもたちの自由な発想を大事にし「それもいいね!」と受け入れてくれます。教室での過ごし方は自由ですが「ほかの人の作品をけなさない・勝手に触らない」と相手の作品を尊重し、どのような作品でもお互いに褒め合うことを大切にしています。
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一つひとつ丁寧に、自分の思いを表現していました
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「アートは、子どもたちが『さまざまな人とつながる』『自分と異なる相手を認め合う』ことを学ぶ取っ掛かりなんです」と杉野さんは語ります。その言葉どおり、子どもたちは同じ空間で作品を作りながら、お互いの表現を認め合い、少しずつ多様性を受け入れ、違うことが心地良いインクルーシブな雰囲気が自然と教室全体に醸成されているそうです。また、教室は保護者の参加も勧めており、異なる世代の親同士が子育ての悩みや経験を共有できる場にもなっています。
居場所が子どもたちに与える変化
多様な人との関わり合いで、子どもたちにとって成長の場にもなります。「かつて、自分の思い通りにならないと、いらいらして感情をぶつけていた子が家族とは違う大人や多世代の人と関わる中で、相手の意見も受け入れて、自分の感情に折り合いをつけられるようになりました。そうした子どもの成長を見ていると、自分を認めてもらえる『居場所』としての役割にもなっていて、ここを無くしちゃいけないなと思います」と、杉野さんはアート葉山の必要性を強く実感しています。
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個性豊かな作品に囲まれる代表の杉野さん
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今は、教室をずっと残せるように、杉野さんの後を継いで教室の取りまとめをしてくれる人を探しています。
理解への近道は関わること
「障害への理解を本当の意味で深めてもらうには、障害のある人と関わる機会をどのように作れるかが重要です。関わったことで障害を“特別なこと”としてではなく“その人の一部”として理解してくれる人が増えて、社会がどんどん変わっていってほしい」と杉野さんは伝えます。
アートを通じたふれあいと認め合いが、心の隔たりを溶かしていく―。アート葉山の思いが未来につながるよう、新たな仲間をお待ちしています。
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アート葉山
〒240-0112
三浦郡葉山町堀内638-10
HP
インスタ
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「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています
バックナンバーはHPから
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【発行日】2025(令和7)年6月15日(毎月1回15日発行)
【編集・発行】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
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