福祉タイムズ

Vol.825(2020年8月号)

このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.825(2020年8月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。

テキストデータ作成に当たって
 このデータは、『福祉タイムズ』 vol.825 2020年08月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
 二重山カッコは作成者注記です。

P1
福祉タイムズ ふくしTIMES
2020.08 vol.825
編集・発行 社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

特集…P2
共に支える、連携する地域づくりを目指して-「全社協 福祉ビジョン2020」から考える
NEWS&TOPICS…P4
正しい知識で偏見減らして-「精神障害当事者の家族に対する差別や偏見に関する実態把握全国調査」報告
県社協のひろば…P10
本会次期活動推進計画骨子(案)へのご意見を募集します

◆今月の表紙 聞こえなくてもチャレンジには関係ない【詳しくは12面へ】撮影・菊地信夫(きくちのぶお)〉

P2
特集
共に支える、連携する地域づくりを目指して-「全社協 福祉ビジョン2020」から考える
 令和2年2月、全社協から「全社協 福祉ビジョン2020」が発表されました。目標として「ともに生きる豊かな地域社会」が挙げられており、国が進めている「地域共生社会の実現」に向けた取り組みに通じるものとなっています。令和3年4月より改正社会福祉法の施行も決まっており、地域住民と福祉関係者の連携・協働が出来る「地域のつながりづくり」がより一層重要なものとなってきています。
 本紙では、「福祉ビジョン2020」に挙げられた課題をおさえながら、本会が担うべき役割について、策定中の次期活動推進計画を踏まえつつ、考えていきます。

〈囲み〉
「全社協 福祉ビジョン2020」
令和2年2月、全社協より発行。概要や本文はホームページでご覧いただけます。
URL: https://www.shakyo.or.jp/download/vison2020.html
〈囲み終わり〉

2040年の環境を見据えて
 高齢者、単身世帯、外国籍の方…。価値観や生活環境がそれぞれ異なる人々が同じ地域で暮らす今、生活する中で出てくる課題も複雑化・多様化が進んでいます。全社協政策委員会ではこうした背景を踏まえ、「全社協 福祉ビジョン2020」をとりまとめ、福祉関係者へ課題に対する取り組みの方向性を示しました。
 2011年にとりまとめられた「全社協 福祉ビジョン2011」では、制度内の福祉サービス・活動の充実・発展をさせること、制度外の福祉サービス・活動を開発・実施していく必要があることが提起されておりました。今回とりまとめられた「福祉ビジョン2020」においては、その到達点を踏まえたものとなっています。
 さらに、近年では、少子高齢化が一段と進んでいること等、社会が大きく変化しています。この変化は2040年に向けさらに加速していくものと予想されており、「福祉ビジョン2020」ではこの変化を見据えた福祉のあり方について、方向性が示されています。

P3

「地域共生社会の実現」に向け
 令和元年12月、厚生労働省から「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会 最終とりまとめ」が発表され、多様化・複雑化する福祉課題に対応していくには、制度や分野の枠や「支える側」「支えられる側」の関係を越え、人と人とがつながり、支え合うことの出来る地域づくりが必要であることが示されました。
 また、令和3年4月より施行が決定している改正社会福祉法では、新たに「重層的支援体制整備事業」を市町村で行えるようにしていくこと、国や都道府県ではこれに助言・援助を行っていくよう規定されています。
 この新たな事業は「相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つを一体的に行っていくことで、包括的な支援体制を構築し、複雑化した支援ニーズに対応するとしています。住民それぞれがつながりを持つこともポイントで、築き上げた関係性によって、早期の課題発見や制度の挟間にあるニーズへの対応、持続的な支援が行えるようにすることがねらいとされています。

〈図〉
「ともに生きる豊かな地域社会」実現に向けた具体的な取り組み
①重層的に連携・協働を深める
②多様な実践を増進する
③福祉を支える人材の確保・育成・定着を図る
④福祉サービスの質と効率性の向上を図る
⑤福祉組織の基盤を強化する
⑥国・自治体とのパートナーシップを強める
⑦地域共生社会への理解を広げ参加を促進する
⑧災害に備える
▶「福祉ビジョン」では8つの視点から具体的な取り組みを進めていくとしている。取り組み期間は、2030年3月まで
〈図終わり〉

 「福祉ビジョン2020」では、これらに触れながら、「地域共生社会の実現」に向け、より一層、地域住民や福祉組織・関係者が主体となって協働・連携し、活動を展開していくことが求められているとしています。

「ともに生きる豊かな地域社会」への方向性
 2040年までの社会の変化、国が現在進めている「地域共生社会の実現」への取り組み等を背景に、「福祉ビジョン2020」では住民一人ひとりが協働し、支え合い、安心してその人らしい生活を送ることができる、「ともに生きる豊かな地域社会」を目指すべき社会とし、具体的な取り組みの方向性を提示しています。
 この方向性の一つとして挙げられている「重層的に連携・協働を深める」取り組みは、「地域共生社会の実現」に向けた取り組みとして、大きなポイントと考えられます。
 まず、地域の医療や教育、企業、ボランティア等の多様な組織・関係者、そして福祉組織・関係者のそれぞれが、自らの役割や出来ることを明らかにしながら、効果的な連携・協働を行っていくことが「重層的に連携・協働を深める」にあたって必要であると挙げられています。しかし、こうしたつながりを生むには、それぞれが関わることの出来る場所が必要です。
 「福祉ビジョン2020」では、地域の福祉関係者と多様な組織・関係者が出会い、学び合い、つながりを生み出すことの出来る環境を「連携・協働の場」としたうえで、この場となるのが市区町村社協の役割ではないかと改めて提起しています。また、都道府県・指定都市社協については、市町村社協が「連携・協働の場」として機能するよう、支援・促進していくことが重要な取り組みになるとも示しています。

本会として発揮すべき役割
 本会は、平成28年度から令和2年度の活動推進計画において「住民参加と様々な主体の協働による誰もが安心して生活できる地域づくりの推進」を基本理念として掲げ、取り組みを行ってきました。さまざまな主体が参加することによる支え合いの地域づくりを推進することを基本目標のひとつとしており、これは国が「地域共生社会の実現」を掲げる以前から取り組んできたものです。
 令和3年度を初年度とした3ヵ年計画である次期活動推進計画では、これまで本会が行ってきた取り組みを、国や「福祉ビジョン」に挙げられる「地域共生社会の実現」に向けた取り組みと併せて整理していきながら、強化して取り組めるよう、策定を進めているところです。
 次期計画では基本目標として、「市町村域における包括的支援体制整備の推進」「多様な参加の機会と役割を生み出す地域づくり」を想定しています。これは、これから各市町村域で取り組まれていく「重層的支援体制整備事業」や地域福祉活動の推進のために、市町村域の状況や特性に合わせた情報の収集と提供。地域住民が福祉活動に参加することができる環境づくりや担い手育成の支援などを、本会が取り組むべき課題として設定を予定しています。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、従来の取り組み方の見直しが必要になっています。本会では、こうした変化や情勢に対しても工夫しながら、本会会員と連携・協働し、役割を果たしていきます。

〈囲み〉
 本会次期活動推進計画について、「福祉タイムズ5月号」に策定状況を、また、本号10面にてパブリックコメントの実施について掲載しております。
 福祉タイムズのバックナンバーは本会ホームページでご覧いただけます。
URL: http://knsyk.jp
〈囲み終わり〉

(企画調整・情報提供担当)

P4
NEWS&TOPICS
正しい知識で偏見減らして―精神障害当事者の家族に対する差別や偏見に関する実態把握全国調査
 令和2年3月、精神障害当事者の家族への支援等を行っている(公社)全国精神保健福祉会連合会(通称、みんなねっと)は「精神障害当事者の家族に対する差別や偏見に関する実態把握全国調査 報告書」を発表。5月にはホームページに報告書が掲載されました。
 この調査では当事者家族の実態を調査し、家族への支援のあり方を提言していくために実施されました。
 平成28年の障害者差別解消法の施行によって当事者への不当な扱いが差別として規定され、お互いが認め合う共生社会を目指す取り組みが進められています。しかしながら、差別的な扱いは当事者だけでなくその家族に及ぶケースもあり、その課題はなかなか表面化していないと言われています。
 寄せられた事例には「遺伝するかもしれないから、当事者の家族とは結婚できない」「うつるかもしれないから一緒に遊ばせるな・外出をするな」など、症状に対する誤った情報や偏見からの差別を受けた経験が語られています。
 こうした事例をなくすためにどういった社会整備が必要かという問いには「障害に関する理解を深める教育の機会を増やす」との回答が多く、精神障害に関する正しい知識と理解を広めることで、偏見や差別をなくしていくことが求められています。
 差別等について改めて考える機会にしてはいかがでしょうか。

〈写真〉
▶報告書はホームページでダウンロードできる。調査結果を基にした有識者のコメントも寄せられている
 URL:https://seishinhoken.jp/researches
〈写真終わり〉

(企画調整・情報提供担当)

P5
福祉のうごき 2020年6月26日〜7月25日
●ハローワークを通じて就職した障害者が過去最多に
 厚生労働省は、2019年度にハローワークを通じて就職した障害者が延べ10万3,163人と10年連続で過去最多を更新したと発表した(6月22日)。就職件数は身体障害者2万5,484人、知的障害者2万1,899人。精神障害者は4万9,612人で全体の半分近くを占めた。

●厚生労働省、就労A型、B型事業所の収入減で公費負担
 厚生労働省は6月30日、新型コロナウイルスの影響で生産活動収入が減った障害者就労継続支援事業所に最大50万円を支給する「就労系障害福祉サービス等の機能強化事業」の実施要綱を都道府県知事らに通達した。生産活動の再起に必要な費用を支給する。

●県が最低限の初期対応項目を提示
 県は、自然災害の備えとして公表していた「避難所マニュアル策定指針」を基に、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すため「避難所運営ガイドライン(指針)」を策定した。最低限必要な初期対応項目を提示したことなどが特徴。

●「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が全面施行
 川崎市で7月1日、あらゆる差別を禁止し、根絶を掲げる「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が全面施行され、ヘイトスピーチに対する刑事罰の適用が始まった。差別を犯罪として規制する法令は法律を含めて初めてとなる。

●認知症やその疑いの行方不明者、1万7,479人
 高齢化社会の進行で認知症による行方不明者は増加し、2019年中に警察に届けがあったのは、前年より552人増の1万7,479人だった。行方不明になる恐れがある人にGPS端末を貸与し、警察の捜索に位置情報を活用する協定を結ぶ地域もある。

●緊急小口資金申請が、リーマンショック時の約80倍に上る
 新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった世帯が、最大20万円を借りられる「緊急小口資金」の申請が殺到。厚生福祉では申請総額は約1,045億円で2009年度のリーマンショック時の約80倍に上るとしている。申請件数は7月以降も週2万〜3万件増加している。

やさしさのおくりもの
子どもたちに伝えたい~ひとりぼっちじゃないんだよ~
NPO法人クロスワイズ
 (N)クロスワイズは、東日本大震災の発生時に世界中から寄せられた支援や激励に対して、感謝の気持ちを届けたいという想いから2012年3月に設立され、オリジナル絵本を製作し世界各国の子どもたちに寄贈活動を行っています。
 活動は「HEARTHEART~世界の子どもたちに絵本を届けるプロジェクト」と題し、外務省の後援を受け、NPО設立以来、現在までに、世界13か国の小学校や孤児院、児童養護施設等の子どもたちに、絵本を通してメッセージを発信してきました。
 この絵本は、一匹の小さな蟻が、さまざまな動物との出会いによってお互いがかけがえのない唯一無二の存在であることを理解し合い、地球に生きる仲間として受け入れ合い、支え合って生きていくことの大切さに気づくという物語となっています。
 この度は、本会を通して県内の児童福祉施設に寄贈いただき、また、日本国内においては全都道府県の図書館や小学校等に寄贈され、内閣府のSNSでも取り上げられました。
 クロスワイズ理事長の横井清人さんは、「この絵本を手に取った子どもたちの心に、『心と心をつないでいくことの大切さ』が伝わるよう願っています。」と、語ってくれました。
 本会でも、この絵本が多くの子どもたちの目に触れ、未来を担う優しさと温かい心が育っていくよう見守っていきます。(地域福祉推進担当)

〈囲み〉
「You are the only one, but never a lonely one
(邦題:ひとりぼっちじゃないんだよ)」
絵本の文章は英語と日本語で表記されています。
詳細はホームページからご覧ください。
(N)クロスワイズ
URL:http://xyz.or.jp/
〈囲み終わり〉

P6
連載「緊急事態宣言」今、ふりかえって 第2回
非常事態でも施設現場だから大切にしたいこと
―(福)長寿会 陽光の園(小田原市)
 福祉・介護・保育―。どの分野・種別にも共通するのが、人が人に行う対人の援助だということ。しかし、「密閉」「密集」「密接」のいわゆる「3密」を避けることが求められた新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策等に対して、福祉施設の現場ではどのようなことを意識し、取り組むことが大切になってくるのでしょうか。
 第2回目の本号では、高齢者福祉施設の実践を通じて、考えてみます。

感染拡大、施設への影響は
 お話しを伺ったのは、小田原市にある(福)長寿会が経営する陽光の園。この施設では、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスを行っています。
 特に高齢者が感染し発症すると重症化は免れないと言われていますが、介護の仕事は、人との接触が避けられないものです。この状況・状態に、職員にかかる心的負担は計り知れません。
 では、新型コロナウイルス感染症が広がり始め、緊急事態宣言の発令があった頃、施設職員と利用者にはどのような影響や変化があったのでしょうか。
 「職員は、利用者への感染リスクのプレッシャーに加え、感染対策にかかわる業務など通常とは違う作業も増え、職員たちの負担が平時よりも大きくなったことが変化のひとつです」と語るのは、施設長の加藤馨さん。
 利用者についても、歌うなど声を発するレクリエーションができない、また、家族との面会ができないことでストレスを感じる方、さらには、感染への恐怖を強く感じる方等々、「利用者の心にも大きく影響があったようだ」と、話されました。

ニーズに応えるための工夫を図る
 「3密」回避の為、直接対面しての利用者と家族との面会は極力避けなければなりません。しかし、家族団らんの時間として、家族との面会を楽しみにしている利用者は少なくありません。
 陽光の園の運営方針は、利用者に円満で幸福な生活を送ってもらうこと。それはコロナ禍でも変わりません。そこで、面会の方法に一工夫加えて実施することになりました。
 「こんな手法を試してみたんですよ」と。
 奥さんは特別養護老人ホームの利用者、旦那さんはデイサービスの利用者と、ご夫婦で施設を利用している方がいらっしゃいますが、利用者が密集することを避ける為、同じ施設内でも面会が難しい状況でした。

〈写真〉
▶糸電話を使って2階にいる奥様と会話中。懐かしの手法でも、意外としっかり声が届く
〈写真終わり〉

 それでも〝利用者の円満で幸福な生活〟を考えれば、この状況下でも、夫婦がお話しをするのは至極自然なこと。
 そこで、職員が考え作製したのが、「糸電話」。お互いがいる1階と2階を糸でつなぎ、紙コップ越しにコミュニケーション。これで夫婦団らんの時間をつくることができました。
 この他にも、タブレット端末のビデオ通話機能を使用しての面会、窓越しでの面会など、さまざまな面会方法が試されたと伺いました。

〈写真〉
▲広い場所で、なるべく間隔をあけて会議
〈写真終わり〉

P7

とにかく基本の対策を徹底
 利用者が感染することも、自分が感染することも大きな悲劇につながりかねません。職員による感染症対策はより一層重要なものになるはずです。
 そのことについて、加藤さんは「何よりも標準予防対策の徹底を心掛けました」と語ります。
 手の消毒や室内の清掃、換気、「咳エチケット」、マスクの着用といった普段から行っている衛生管理の取り組みを強化するなど、基礎の基礎からしっかり取り組んでいきました。また、職員玄関には手洗い場を設置し、施設内に入る時には必ず手洗い消毒するよう徹底。さらに、職員の体温記録表を作って検温を行う他、厚生労働省からの通知や法人としての感染対策について掲示し、職員間の情報共有を行いました。
 これらの取り組みについて、「対策の徹底には、正しい情報の共有が必要です。当初は、コロナに関する知識が職員間でバラバラでしたが、職員の意識を同じくするために、施設周辺での感染状況、必要な対策。そして、利用者の体調、利用者の家族の様子、職員自身の体調等、施設の中で〝報告と共有〟を特に気を付けるようにしました」と言います。
 また、業務継続には、会議や打合せ等が必要になりますが、職員同士による「3密」を避けるために、会議は通常より頻度を落とし、かつ、お互いの間合いをあけながら実施するよう心掛けたそうです。

〈写真〉
▲6~7月で行ったアジサイ風呂。コロナ禍であっても季節ものを大事にしている
〈写真終わり〉

第2波見据え考慮すべき課題
 緊急事態宣言の解除後には、対策として行っていた行動規制などの制限も少しずつ緩和しているところだったと言います。しかし、7月に入ってからまた感染拡大の傾向になりつつあり、第2波が心配されています。
 「職員には、普段の生活に行動制限があり、仕事では普段のように上手くいかないことが増え、負担を強いる場面が多くあります。いかに配慮していくかは、第2波に向けて考えなければならないことと思います。」
 また、感染防止策に欠かせない衛生物品の確保についても懸念されている課題のひとつです。陽光の園では、今回は、関係者からのマスクの寄附などもあり、協力して確保できましたが、「一方で、価格の高騰や品薄状態で入手困難になってしまった当時を振り返ると、第2波・第3波への備えとして、緊急事態の中でも安定して確保できる仕組みや協力の体制を整える必要があるのではないか」と指摘します。さらに、施設で感染疑い者の検査や感染者が出た場合の対応が迅速に出来るのか、保障や支援、具体的な制度についても実態を踏まえた対策となるか、気になる点として挙げられました。
 やれることが限られる非常時でも、利用者に安心して過ごしてもらう事が大切なことで、感染症等の対策と両立しながらサービスが継続できるような方法を模索していくことは、大きな課題のひとつと思われます。
◇  ◇  ◇
 本紙では、皆様の「コロナ対策の工夫、取り組んでいること」事例やエピソードを募集しています。あなたの工夫をお聞かせ下さい。
【問い合わせ先】企画調整・情報提供担当 Mail:kikaku@knsyk.jp
(企画調整・情報提供担当)

P8
私のおすすめ
◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。

ぐっすり寝て元気!寝苦しい夏を親子で乗り切ろう
 蒸し暑く、寝苦しい夜が続く夏。お母さんやお父さんだけでなく、子どもたちも寝不足になっていませんか。とくに今年は新型コロナの影響によって外で体を動かすことが減り、なかなか寝つけない子どもが増えているそうです。そこで今回は親子で毎日を元気に過ごせるように、子どもたちの寝つきがよくなる方法をご紹介します。

今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします!
 今年で子育て支援活動27年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。
〈連絡先〉 〒214-0011 川崎市多摩区布田24-26
TEL 044-945-8662 FAX 044-944-3009 URL:http://www.mamaton.jpn.org/

 子どもの眠りについて教えてくれたのは、睡眠習慣をサポートする機関「IPHI」公認の妊婦と子どもの睡眠コンサルタント、小笠原サクラさん。ままとんきっずやオンラインで乳幼児の睡眠に関する講座を行い、電話で悩み相談も受け付けています。多くのお母さんやお父さんが寝かしつけに苦労する赤ちゃんと幼児に分けて、まずは試してみたい方法をピックアップしました。

◆赤ちゃんの寝つきがよくなる方法
①寝室を大人がひんやりと感じるくらいの温度に保つ
 夏の寝ぐずりや夜泣きは暑さが原因になることがあるので、赤ちゃんが汗をかかない程度に室温を調節します。お風呂はお湯をぬるめにして短時間で済ませ、寝る前のおっぱいやミルクを飲む時も体が熱くならないように気をつけると、深い眠りに入りやすくなります。
②就寝時間より起床時間を揃えるほうが大事
 毎日だいたい同じ時間に起き、朝日を浴びさせましょう。ベランダに出たり、窓際に置いたバウンサーに座らせて外を眺めさせたりして、日光をしっかり浴びることで体内時計が整い、夜ぐっすり眠るようになります。

〈イラスト〉
赤ちゃんに掛け布団は不要。新生児〜3ヵ月はおくるみ、3ヵ月〜はスリーパーがおすすめ
〈イラスト終わり〉

③昼寝も暗い部屋で寝かせる
 昼夜の区別がつく生後3ヶ月以降は、昼寝も夜と同じくらい暗くした部屋で寝かせたほうが寝つきがよくなります。長時間眠るので、質のよい睡眠も取れます。

◆幼児の寝つきがよくなる方法
①寝る前に1日を振り返るお話タイムを設ける
 幼児にとって大事なのは幸せな気持ちで1日を終えること。「今日はこんなことをしたね」「こんなことがあったね」「こんなことが楽しかったね」などと話し、ぎゅっとハグして消灯します。これを日課にすると気持ちが満たされて落ち着き、寝つきやすくなります。
②就寝1時間前にはテレビやスマホを消す
 寝るまでテレビやスマホを見たり、明るい部屋にいたりすると睡眠ホルモンが十分に分泌されず、寝つきが悪かったり、深い眠りに入れなかったりします。お風呂を出たら部屋も薄暗くするなどルールを作りましょう。

〈イラスト〉
幼児の1日の睡眠時間は11〜14時間、夜は10〜12時間、昼は1〜3時間程度が理想
〈イラスト終わり〉

③2歳以降の昼寝は14時半ごろまでに起こす
 遅い時間や長時間昼寝すると、夜の就寝時間が遅くなってしまいがちです。20〜21時ごろに寝るためには、昼寝は14時半ごろまでに起こすようにしましょう。

 いかがですか。「子どもの眠りは千差万別。よく寝る子も寝つきにくい子もいますが、寝室環境や生活リズムを整えることで改善されることも多いので、それぞれのご家庭に合う方法を取り入れてみてくださいね」と小笠原さん。子どもたちが気持ちよく寝つくと、親も安心してよく眠れそうですね。すっきりと爽やかな朝を迎えましょう。

インフォメーション
■小笠原サクラさんが運営する「ねんねbaby支援室」
URL:https://www.nenne-baby-room.com

P9
福祉最前線ー現場レポートー
◎このコーナーでは県内各地の福祉関連の当事者・職能団体等の方々から日ごろの取り組みをご寄稿いただきます。

(N)よこはま言友会
理事長 中村 則男
 県内を活動範囲とする吃音者のセルフヘルプ・グループ。1人で思い悩まず、当事者同士が悩みを分かち合い、助け合って吃音問題を自身の中で少しでも小さくして、明るく前向きに生活できることを目指し発足。
〈連絡先〉〒238-0311 横須賀市太田和2-19-21(市川様方)
URL:http://yokohama-genyukai.wixsite.com/index

安心して話せる吃音を持つ人たちのセルフヘルプ・グループ
 よこはま言友会(以下、当会)は、全国言友会連絡協議会(以下、全言連)加盟の吃音者のセルフヘルプ・グループです。全言連は全国に35の加盟団体を持ち、日本で最大の吃音者の団体です。ちなみに当会は、1994年に発足し県内を活動範囲としています。
 古来(紀元前384年ごろ)ギリシャの弁論家デモステネスが吃音当事者であることは有名ですが、未だに決定的な治療法がなく、ある人には有効であった療法が他の人にはまったく効かなかったりと、まだまだ原因・治療法は解明されていません。
 このような現状を踏まえ、当会は「吃音者の分かち合い」・「吃音症状を軽くすること」・「子どもたちの吃音問題」・「市民への情報発信」の活動を行っており、昨年は1,000名近い方が参加しています。
 会員は中学生~70才以上で社会人が多く、仕事帰りに参加できる夜間の例会が好評です。医師・看護師・ことばの教室の先生も在籍し、吃音者の相談に対応できる体制です。また、全言連を通じ、全国の吃音者と交流があります。
 今年は新型コロナウィルス感染防止で対面の例会やイベントを中止していますが、11月に予定している吃音フォーラムの開催を目指し、準備中です。
 LINEやZoomを使ったオンライン例会や非接触式の体温計によるイベント参加者のチェック、参加予約制の採用により「新しい生活様式」に対応しています。当会では、対面と共に、オンラインでの活動も強めて行きたいと思っています。

〈囲み〉
「吃音者の分ち合い」:かながわ県民センターで月1回の【例会】、川崎市中部障害者福祉会館を使っての【川崎日曜例会】の開催
「吃音症状を軽くすること」:県社協の相談室を使用した【吃音改善トレーニング部】の開催
「市民への情報発信」:年1回の市民対象の【吃音フォーラム】の開催
「子どもたちの吃音問題」:子どもたちと保護者対象に【親子きつおん交流会】・【ことばの教室訪問】の実施
「情報発信」:【会報】・【Twitter】・【Facebook】・【HP】・【日本吃音・流暢性障害学会】での発表
〈囲み終わり〉

P10
県社協のひろば
次期活動推進計画骨子(案)へのご意見を募集します
誰もが尊重され安心して生活できる地域づくりの推進を目指して
 本会では、現行の活動推進計画の計画期間が今年度で満了を迎えるにあたり、これまでの事業成果を生かしながら、社会情勢や時代のニーズに対応し、地域福祉の着実な推進を図るため、令和3年度を初年度とする新たな活動推進計画の策定を進めています。
 新たな計画では、地域共生社会へ向けた包括的支援体制の構築などの新しい動向に沿った取り組みを進めるとともに、住民が地域で生活を送る上での課題への対応も会員をはじめとした関係機関・団体の参加と協働により継続して行っていきます。その際には、新型コロナウイルス感染症防止の「新しい生活様式」を踏まえ、新たな手法や創意工夫で実施します。
 この度、計画の骨子(案)がまとまりましたので、今後の計画策定の参考とするため、ご意見を募集いたします。
【意見募集期間】
令和2年8月13日(木)から令和2年8月31日(月)まで
【意見募集の方法】
本会ホームページに骨子(案)を掲載いたしますので、所定の様式によりご意見をお寄せください。また、様式のFAXまたは郵送をご希望の方は、問合せ先にご依頼ください。
【意見の送付方法】
eメールまたはFAX、郵送にて問合せ先までご提出ください。
【結果の公表】
令和2年9月下旬に、本会ホームページで公表します。
 いただいたご意見に対する個別の回答はいたしませんが、ご意見を整理し、計画策定の参考とさせていただきます。
(企画調整・情報提供担当)

【問合せ先】
 神奈川県社会福祉協議会 総務企画部 企画調整・情報提供担当
 〒221-0844 横浜市神奈川区沢渡4-2 県社会福祉会館内
 TEL 045-311-1423 FAX 045-312-6302
 Mail:kikaku@knsyk.jp URL:http://www.knsyk.jp/
※本計画の策定については、福祉タイムズ5月号4面でも掲載しています

〈図〉
次期活動推進計画(令和3年度~令和5年度)の概要(案)

基本理念
住民参加と様々な主体の協働による誰もが尊重され安心して生活できる地域づくりの推進~地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進~

基本目標
Ⅰ 市町村域における包括的支援体制整備の推進
Ⅱ 多様な参加の機会と役割を生み出す地域づくり
Ⅱ 福祉サービスの質の向上にむけた取り組みの強化

推進項目
1 総合的な相談支援の取り組みへの支援
2 権利擁護と地域で生活を支える事業への支援

1 多様な主体をつなげる取り組みの推進

1 福祉従事者の職場環境づくりへの支援
2 福祉従事者等の専門性向上への取り組み
3 福祉人材の確保に向けた取り組み

重点課題
1 包括的支援体制構築のための総合的な相談支援の推進
2 地域での活動の関係性を広げるコーディネートへの支援
3 多様な福祉人材が活躍する職場環境づくり

計画推進の視点
○様々な主体や事業実施から把握されるニーズや課題の把握・分析に基づき、開拓的・創造的な視点で柔軟に取り組むとともに、社会状況に応じて方法を工夫します
○会員をはじめとした関係機関・団体等の様々な福祉活動や地域活動の主体に向けて、主体間の連絡調整を行い、公私協働を含めた連携・協働による取り組みを進めます
○本会ならびに本会事業への理解促進に向けて、事業内容や成果をわかりやすく発信する取り組みを進めます
〈図終わり〉

P11
information
本会ホームページ表示不具合お詫び申し上げます
 去る7月13日、本会HPサーバに不正侵入があり、正しく表示されない等の症状が発生しました。本会HPは基本的に公開情報を掲載しており、このことによる個人情報漏洩といった問題はありませんが、閲覧者を始め、関係者の皆々様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
 復旧作業を行いながら、公開をしておりますが、一部ページでは閲覧できない、また古い情報が表示されれる場合があります。ご了承いただくと共に、最新情報等の確認は各担当へお問い合わせください。

 今回の件を踏まえた対策等はHP作成業者等と検討し、行ってまいりますので、重ね重ねご不便おかけいたしますが、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

寄附金品ありがとうございました
【交通遺児援護基金】藤尾はるみ
【子ども福祉基金】脇隆志、大川照子
【ともしび基金】広瀬公子、川崎臨港警察署、宮武忠
(合計8件 4,088,000円)
【寄附物品】関東アイスクリーム協会
【ライフサポート事業】
<寄附物品>(N)セカンドハーベスト・ジャパン
(いずれも順不同、敬称略)

〈写真2点〉
児童養護施設等へアイスクリームを寄贈いただき、関東アイスクリーム協会塚原正記理事長(左)に感謝状を贈呈
ともしび基金へご寄附をいただき、宮武忠様ご遺族の石井紀六様(左)、由紀子様(中央)に感謝状を贈呈
〈写真2点終わり〉

神奈川県社会福祉センター整備事業
協賛ありがとうございました
第一三共グループ従業員一同、御薗正和彦(敬称略 R2.7.26時点)

〈囲み〉
 本会ではセンター整備事業を進めるにあたり、広くご支援、ご協力をいただけるよう協賛金制度を設けております。
 趣旨にご理解、ご賛同いただき、ぜひともご協賛を賜りますようよろしくお願いいたします。
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かながわほっと情報
諦めないでチャレンジを!ーデフリンピック日本代表自転車競技 早瀨久美さん(横浜市)
 4年に1度開催され、聴覚障害の方が参加できるスポーツの祭典「デフリンピック」。この自転車競技に日本代表として参加し、2回メダルを獲得したのが早瀨久美さんです。
 自転車を始めたきっかけは、自転車競技大会に参加しているご主人に姿に魅了されたこと。12年前に、舗装されていない山道等を自転車で走るクロスカントリー競技を始めてから、大会等に参加するようになりました。

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聴覚障害の方では日本初の薬剤師でもある早瀨さん。都内の病院で働いている。コロナ対策は「予防の基礎から」
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 自転車を始めた頃は「耳が聞こえない人に自転車はキケン」と反対する声も多くありましたが、早瀨さんは、「聞こえる聞こえないは関係ない」と笑顔で語ります。
 「例えば、雷がひどかった夜、みんなが怖かったと言う中、私はぐっすり寝ていたんです。聞こえなくてよかったなぁって。声色やイントネーションから言葉の意味や表情を読み取れる皆さんがうらやましく、聞いてみたいと感じることもありますが、聞こえる人・聞こえない人、お互いそれぞれ良いところ、活かせることがあると思うんです。」
 「練習は好きじゃないけど、勝負に負けるのも嫌い」と話す早瀨さん。大会で勝利し、達成感を得たいという思いで、練習に取り組んでいます。今年はコロナ感染症の影響で、大会の開催が難しい中、台湾で7日間かけて開催される予定のロードレースに向けて調整中です。来年開催予定のデフリンピックに向けてモチベーションを高めながら、練習に取り組んでいるそうです。

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国際大会を目指すDeaf JAPANチームのジャージ姿を披露。主に国内大会で着用
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 早瀨さんは同じ聴覚障害の子どもたちに、「耳が聞こえないからと言って、やりたいことを諦めないでほしい。できる・できない関係なく、たくさんのことにチャレンジしてほしい」と語り、自分の姿から勇気を与えることができればと意気込んでいます。
 何事もチャレンジ精神を忘れずに生活する楽しさを教えていただき、コロナ自粛で生活している私たちに新たな希望を照らしてくださいました。今後のご活躍が楽しみです。
(企画調整・情報提供担当)

〈コラム〉
まめ知識 「デフリンピック」
 身体障害者のオリンピック「パラリンピック」に対し、「デフリンピック」は、ろう者のオリンピックとして、参加者が国際手話によるコミュニケーションで友好を深められるところに大きな特徴があります。
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